焼きプリンが食べたい……

せっかくの日曜だってのに、私は、寝てる時からなんだか頭がぐわんぐわんしてた。体がだるくて動かない、起きられない。


『ちくしょう…アニメ見られないよ……』


そう思ってたらパパが来て、私の様子がおかしいのに気付いてくれて、熱を測ってくれた。


三十九度。聞いたこともない熱だった。そりゃしんどいわけだ。


小さい頃は割としょっちゅう熱を出してたんだって。しかも一度熱を出すと一週間くらい長引くこともあったってパパが言ってた。でもこんなのは私も知らない。


だけど不思議と、パパが傍にいてくれたら怖くなかった。しんどいけど、何故か大丈夫って気がしてた。寝てれば治るって。


トイレは仕方ないから起きるけど、食欲はまったくなかった。水と解熱鎮痛剤だけ飲んでまた横になる。


寝たのか寝てないのかよく分からない時間が過ぎて、気が付いたら窓の外が夕方近いっぽい感じになってた。薬が効いたのか、ちょっと楽になった気がする。お腹も減ってる気がする。


「パパ…焼きプリンが食べたい……」


私の傍で仕事をしてたパパにそう言ったら、


「分かった。買ってくるから待っててね」


って言ってくれた。普通のプリンは好きじゃないけど、焼きプリンはたまに食べたくなる。甘い中に苦みがあるからかな。


パパが焼きプリンを買いに行ってくれてる間、一人になる。不安だけど、不思議と心配はしてなかった。パパはちゃんと帰ってきてくれるって分かってた。そしたら、ほら、


「ただいま」


ってパパの声。


「…おかえり…」


パパの顔が見られて嬉しくてちょっと笑顔になる。


四個入りの焼きプリン。いつもなら四個とも一気に食べられるのに、今日は一個食べただけでいっぱいだった。


「ごちそうさま」


って言ってまた横になった。




次の日も、熱はだいぶ下がったみたいだけど、体がだるくて立つのも辛い。だから残念だけど学校は休む。


お昼頃、なんだか冷たいうどんが食べたくなってきて、パパに言ったら用意してくれた。


夕方、いつもの小児科の診察時間が来たからタクシーで行った。ホントは自転車で余裕の距離なんだけど今日はムリ。


待合室で待ってる時も「ふうふう」って息がなる。パパは私をお膝に抱いてくれる。私くらい大きな子でそんな風にしてもらってる子は他にいないけど、気にならない。


やっと名前が呼ばれて診察室に入ったら、いつもの先生が、


「どうしたのかな、美智果ちゃん」


って訊いてきた。


鼻に綿棒入れられてインフルエンザの検査したけど、この時は分からなかった。この検査では出ないのもあるんだって。


「明日には結果が分かりますので、来てください」


正直、『え~?』って思ったけど仕方ないのか。もしインフルエンザだったら一週間は休まないといけないんだっけ。


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