スカートなんて嫌いだも~ん

今年で私もいよいよ中学生だ。なんだか不思議。ずっとずっと未来のことだと思ってた。でももう四月からなんだよ? 不思議だよ。私が中学生になるなんて…!


で、それにあたって、すっごく重要な情報を手に入れた。だからパパに訊いたんだ。


「パパ。中学の制服なんだけど、ズボンで行っていいかなあ?」


そう。中学の制服のことだ。中学の制服は、女子でもズボンが選べるってチカちゃんが言ってた。チカちゃんの従姉がズボンで行ってたんだって。だから私もズボンで行きたかった。


そしたらパパは、


「う~ん。もしかしたらズボンで行ってる子は美智果だけになるかもしれないけど、それでもいいんならいいよ」


って言ってくれた。やふ~っ! さすがパパ!!


パパは、きちんと認められてることならどれを選択してもあんまり煩くは言ってこない。女子でもズボンで行けるってのは、ちゃ~んと校則で決まってること。だったらそれでいいって。


ズボンなのが私一人でも平気。トイレとかも、チカちゃんの従姉さんの話だとそんなに気にしなくても大丈夫だったって。知らない人はびっくりしたりもするらしいけど、女子だってことはすぐに分かるから、騒がれたりしないしって。


だったら余裕じゃ~ん。


私はやるよ~、ズボンで行くよ~、スカートなんて嫌いだも~ん。男子がエロい目で見てくるし~。


男子になんかモテなくてもいいも~ん。モテなくたって男子の友達もいるも~ん。


ゲーム友達だけど。


だいたいさ~、男子って幼稚なんだよ。することも言うことも。なのに偉そうにするしさ。少しは私のパパを見習ってほしいもんだよね。


な~んて、パパもダメダメなとこあるけどさ。


だけど、ダメダメなところがあるの分かってて、それで自分の得意なところはちゃんとしようとしてるからそれでいいんだよ。ダメダメなところをごまかしていいカッコしようとするのがカッコ悪いんだよ。


この前、お祖母ちゃんとこから帰る時に、ムキムキマッチョの男の人が電車の中で脚広げて座ってたのをおじさんに注意されたら、そのおじさんのことスマホで盗撮してたんだ。たぶん、ネットに上げるつもりだったんだろうな。


体鍛えて『自分はカッコいい』オーラ漂わせて、やってることがそれだもん。ダサすぎだよ。


そんなのにモテるとかありえない。関わりたくない。視界にも入って来なくていい。だから近付いたりしない。


だからファッションとかもし気にするとしても、男の人にモテたいからするんじゃないだろうなって思う。自己満足のためにするだろうなって気がするんだ。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る