ママ、私、幸せだよ
お盆にもお墓参りに行ったけど、ママの<命日>が近いってことで、またお墓参りに行くことになった。
家族が殺されたら犯人を死刑にしたいっていうのは当たり前だって私も思う。もし私のママを殺したのが神様とかだったら、私はその<神様>を死刑にしてほしいと思う。<神殺し>とかいう武器が手に入るんだったら、それを持って神様を殺しに行きたい。
だからさ、『なんで人を殺したのにすぐ死刑にならないの?』って私も思うんだ。しかも、戦争になったら人を殺しても死刑にならないなんて、それこそ意味分かんない。
でも、パパの言うことも、すごく難しいけど分かる気がする。今はまだムリでも、もう少し大きくなったらちゃんと分かるようになると思う。それに、戦争になってパパが兵隊として戦って敵の人を殺したからって死刑になるのもイヤだ。っていうも分かる。
だからそれはもういいんだ。
またパパと一緒にいっぱい電車に乗ってママに会いに行く。自動車もほとんど走ってないのに信号をちゃんと守って横断歩道を渡って、ママのお墓がある山に行く。あの笑っちゃうくらい急な坂を上ってママのお墓の前に立つ。
「来たよ、ママ……」
もう何度も何度もやったこと。お墓を綺麗にして、お花を供えて、お水をあげて。
パパと一緒に。
大人になったら、私一人でくくることも多くなると思う。ママに話したいこととかができたら来るんだろうな。
ママ…どうして死んじゃったのさ。ママと話したいだけなのにこんなところまで来なきゃいけないなんて大変だよ。ママと一緒にゲームしたいよ。ママと一緒に美味しいご飯食べたいよ。
ママ…私、世界で一番、ママのことが好きなんだよ? パパは二番目なんだ。パパには悪いけど、二番目なんだ。
なんでだよ…なんでママが死ななきゃいけないんだよ…おかしいよ……
イヤだよ、イヤだよ……ママに抱きつけないのイヤだよ。パパのことも好きだけど、パパはママじゃないんだよ。
ママぁ……
今でも時々、こんな感じになる。今回はたぶん、パパに聞いた話のことが原因だったのかな。あと、修学旅行で戦争のことも勉強したからかな。すっごく不安だったんだ。
だけどパパが私に大切なことを教えようとしてくれてるのは分かる。パパはちゃんと私の話を聞いてくれるから、私もパパの話を聞こうと思える。
でもさ、やっぱり思っちゃうんだよ。そこにママもいてくれたらどうだったかなってさ。
久しぶりに泣いちゃったけど、泣いたらなんかすっきりした。パパは私のことを黙って見守ってくれてた。だから好きだよ、パパ♡
こんな風に泣いちゃうこともあるけどさ。そういうこともあってもさ、やっぱり私は楽しいんだなって思うんだ。パパと一緒にいられるのがさ。ママが好きになったパパといられるのが。
ママ、私、幸せだよ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます