運動とかだるいわ~
「運動とかだるいわ~」
今年も運動会が迫って来てて体育の授業は全部その練習になってた。だけど私、運動は苦手。滅べ!って思う。でもパパは、
「今年もちゃんと見に行くよ。美智果。しかも小学校最後の運動会だもんな」
って言ってくれる。パパが見に来てくれるからまあがんばろうかなって思える感じ。
「うん、そうだね。私も小学校卒業か~」
「なんか不思議だな」
「だよね~。私も不思議な感じする。中学生なんて遠い未来みたいに思ってた」
「言ってる間に大人だぞ~。二十歳までもう半分以上過ぎたぞ~」
「そっか~、そうなんだよね~」
「けどまあ、とにかくまずは運動会だな。中学になると一気に生徒数が増えて、見付けるのも大変になるらしいし、よっぽどじゃないと個人なんて目立てなくて、見ててもあまり面白くないって聞くから、余計しっかり見とかないとなって思うよ」
「私なんて、それこそ、ザ・モブだもんね~」
「何しろモブ・オブ・モブなお父さんの娘だからな~」
「モブでも私のパパだから。ちゃんと好きだよ」
「ありがとう。お父さんも美智果のこと大好きだよ」
そう言ってくれるパパにもたれると、頭を撫でてくれる。
私は中学生になってもこうやってパパのお膝で甘えさせてもらうつもりだ。いつまでそうすることになるか分かんないけど、そうしたいって思う間は続けようって思ってる。
ママは、こういうパパだから好きになって、結婚して、私を生んでくれたんだ。だからこうするのは当たり前なんだ。
運動会の日。パパは言ってた通りちゃんと見に来てくれた。私を撮るために買ったっていう大きなレンズのついた大きなカメラで私を撮ってくれてる。
実は写真なんて滅多に見ないけどね。なんでだろう。写真を見て昔を懐かしむっていうのをしたいって気にならないんだ。だって今が一番幸せで、楽しいからかな。
私は運動は好きじゃないけど、パパが見てくれるなら運動会だって楽しいとやっぱり思える。カメラを構えたパパの姿が見えると、自然と笑顔になっちゃう。
パパが言ってたな。
「運動会って、勉強が苦手であんまり活躍できないけど運動は得意って子が活躍できる数少ない機会だと思うんだ。だからさ。そういう子達が活躍できる日があったっていいじゃないか」
って。
私は別に普段も活躍できてる気もしてない。でも、パパが私のことちゃんと見てくれてるから、他の人が褒めてくれなくたって活躍できてなくたって平気だよ。パパに見てもらえてたら十分だよ。
徒競走でビリだって平気。だってさ、パパは楽しそうにしてる私が見たいんだもんね。
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