オマワリさん! 誤解です!
その水族館は、私の地元のに比べたら規模は小さいけど、キモくて面白い生き物とかもたくさん展示されてて好きだった。あと、屋上には生き物に触れることができる展示もあって、そこもお気に入りだった。
カピバラがいるのも不思議だけど面白い。しかもそこは足湯にもなってるんだよね。ぬぼ~っとしてるカピバラが何だかパパに似てる気がする。
アザラシもラッコもリクガメもイルカさんも可愛いかった。ロングノーズガーとかいう変な魚も気に入った。ハゼっていう面白い顔をした魚も好き。
ゴライアスバードイーターとかすごい名前の大きなクモがいて、怪獣みたいだと思ったり。
そうそう! フウセンウオっていう、フグみたいなオモチャみたいな変な魚もいた! カワイイ!!
大水槽は安定の迫力だけど、その隣にロボットの魚の水槽も展示されてた。思った以上に動きがリアルで、でもやっぱりなんか微妙な違和感もあって不気味だった。キライじゃないけど。
私は楽しめたけど、パパはさすがに大変そうだった。来年は中学生になるし、次からはパパには屋上の<うみがめのお店>のところで休んでてもらって一人で回れるようになるかな。でも今はまだパパと一緒にいたいんだ。ごめんね。
水族館をたっぷり満喫して、いよいよ帰ることにする。駅に向かって歩くとさすがに疲れた感じがしてきた。さっきまではテンションが上がってたから感じなかったんだけど、やっぱり疲れてるんだな~とは思った。
駅の階段が妙に長くて辛い。パパが手を握ってくれたから頑張れた。
電車が来るまでベンチに座って待ってる間だけでも眠たくなってきた。まだ海とかから帰る人のラッシュが始まる前だったからすぐに椅子に座れた。パパはこういうのも考えて早めに行って早めに帰るってことにしてくれてるんだよね。
電車に揺られてるともうダメだった。まぶたがものすごく重い……わざとそれに抵抗して遊んでみるけど、ああ…ダメ…勝てない……
……
「美智果、降りるよ」
パパに声を掛けられてハッとなる。いつもの乗り換えの駅だった。ボヤ~っとした頭のままでパパに手を引かれて歩く。小っちゃい子みたいだけど眠いんだから仕方ないじゃん。
でもな~、その時の姿って、<JSを連れ去ろうとしてる中年オジサン>にも見えるだろうな~。オマワリさん! 誤解です!
なんちゃって。
だけど、パパに手を握っててもらえるとすごく安心するんだ。守られてるって実感があって。
乗り換えの電車も、時間はかかるけど各駅停車の空いてる方に乗って、椅子に座ったとたんにまた寝ちゃったんだよね。
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