うん、楽しかった!
浮き輪に身を預けて波に漂いぼへ~っとする。
『ふ~…癒されるう……』
そんなことを考えてると、パパが声を掛けてきた。
「美智果、そろそろ帰るか~?」
言われてみるとお客も増えてきたし、太陽も真上にきたっぽいし、もうお昼なんだな~とは思った。でも、
「え~? もうちょっと~」
うん、まだ物足りない。もっとゆっくり浸りたい。
それに、パパがそう訊いてくる時はまだ余裕があるってことだし。ホントに駄目な時は『帰るぞ!』の一言だから。
分かってるんだ~、そうやって帰る時間が近付いてるんだっていうのを教えてくれてるだけなんだって。
パパは、基本的に命令はしない。状況とその時点での選択肢を提示して私に選ばせてくれる。だから私は自分でそれを考える。どうするのが一番なのかって。
パパが言ってた。
『結局は自分で決めなきゃならないからな~。命令に従わされてるだけじゃ、最終的には指示されなきゃ何もできない人間になるだけだと思うし』
って。
難しいことは分からないけど、そうなのかな~とも思う。それに、命令されるばっかりなんてイヤじゃん? 命令してる人は自分が命令されるのがイヤだから先回りして命令してるだけじゃん? でもちゃんと自分で考えると動きやすいんだよね。
それでいよいよ人が多くなってきた時に、
「どうだ、帰るか~?」
って訊かれたら、
「うん、分かった~」
って素直に言えた。
海から上がったら、「どうする? お昼食べていくか?」って訊かれたから「お腹へった」って応えた。
何度も来てるから海の家のシャワーの使い方も分かってる。さすがにここだと一緒に入れないのも分かってる。本当はイヤだけど仕方ない。そこまでワガママ言ったりしない。パパが聞けるワガママしか言いたくない。
私はパパが好き。パパを困らせたくないもん。それにいつも私の話に耳を貸してくれるもん。だからパパが聞けないことは本当に無理なことなんだって分かるもん。
シャワーを浴びて水着も洗う。だけど、海は楽しいけど砂がすごいんだよな~。水着のわけわかんないとこまで入り込んでたりするの。私も洗ってるつもりなんだけど、帰ってからパパが洗うとそれでも砂が出てくるって。
シャワーが済んで出てくると、うどんとたこ焼きを頼んでくれた。
「楽しかったか?」
「うん、楽しかった!」
たこ焼きを食べながらそんな話をする。
「さて、帰るとしますか」
「は~い」
とか言ってるけど、すぐには帰らない。海水浴場のすぐ隣に建ってる水族館に寄ってから帰るのがいつものパターンなんだよね~。
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