第3話 愁いを知らぬ鳥のうた

 愁いを知れ



 ここは空の上

 ある人は天国といい

 ある人は地獄といい

 またある人はモンスターがいるといった

 時々ニンゲンと遊んでいる

 ここはならず者がいるところ

 あんたらがそうぞうした者がいる

 あんたらが仮装してる本物がいる

 だからハロウィンになったら

 こっそり参加しに行くのさ

 時々お盆にも霊魂連れて行くし

 時々成仏したやつらも下を見に来る



 ついに今日僕は鳥になった。当日になっても心配ばかりしていたが、きぐるみの中に入ったらなんだか楽しくなってきた。視界も程よく見えすぎない。そのうち恥ずかしくなくなってきた。自由行動も許され、意外と楽しんでしまっている。道行く人にチキンと言われても気にならない。焼けてるぞ、焦げてるぞと言われても何も心配はなかった。だってきぐるみって暑いものだろ?だからさ、本当に燃えてると思わなかったんだ。そして道行く人にサイダーで消火してもらった。



「ありがとう」


「いいよー、お兄さんも大変だね。焼き鳥になるところだったね」


「はは、ほんとに気づいてなかったから助かりましたよ」


「面白いね!お兄さん、あたし達と一緒に行かない?」


「いやいや、とんでもない」



 なにやら鬼の仮装をしている優しい若い子たちは、やけにテンションが高かった。



「今日だけだしさ」



 魔法の言葉のようだった。



 鶏肉の特売は嬉しかったなあ

 安くて上手くてジューシーで

 お肉の中で一番好きだからね


 僕は鳥になった

 だけどまだうまく飛べない

 焦げちゃったからなあ

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