第2話 愁い白々し鳥のうた

 黒々しい白々しさ



 ハロウィンの夜。地上から遠く離れた空の上。モンスターたちが住まうここでも、実は準備の真っ最中。ここでは魔女と小鬼とコウモリたちが、せっせと身支度や荷物の整理している。



「おい、ウスノロこっちにおいで」



 でかい毛むくじゃらが崖の端から心配そうに地面をのぞいていた。魔女の呼びかけにこちらへやって来る。どしんと地面が揺れる。その度に小鬼たちがトランポリンに乗っているように跳ね、キャハハと楽しそうに笑った。



「あんた、去年は落っこちたんだから。ほら先に魔法かけてやるよ」


「がうう」



 シャランラとか、ぴるぴるとかそんな可愛らしい効果音もなく、魔女の手が光って光が収まると毛むくじゃらは人間サイズになった。魔女は小鬼たちも角はそのままで人間の娘にしてやる。自分にも魔法をかけ、老婆は一気に若返った。服装も真っ黒なローブから黒のミニスカと可愛らしい魔女っ子帽子になる。ふうと一息つき、



「これで準備はいいかな、それじゃあんたたちも楽しんでおいで!」



 魔女の一声にコウモリやその他大勢も一斉に地面に向かって飛んでいく。どうやらコウモリに乗っていくようだ。何十匹かのコウモリが集まりながら支えている。



「しかし、相変わらず眩しいねえ。みんな真っ黒で真っ暗なウチラとは大違いだよ」



 地面に降り立った魔女、いいや若い娘はさっそくナンパされる。



「かわいい魔女だね、学生?何歳なの?」


「えー?17歳」



 魔女は白々しく答えた。




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