第1話

智幸。智幸。起きて。目を覚まして。


うっ。目を開いたそこには真っ白な天井が…いや天井だけじゃない、床も壁も真っ白で。

「智幸。わー起きたー。おっはよー!早速だけど君には選択してもらうね。本当ならねー?2人で選んで欲しいんだけどー、彼女の方が重傷でね、彼女の意識に入れないんだよー。神様泣きそう。でねでね、代わりに君に1人で選んで欲しいんだよね、時間もないから。おっけー?じゃさっそくまず君は生きたい?それとも死にたい?あはは、そんなに睨まないでー?神様こわーい。きゃーっ。生きたいのは当然だよねー?よーし、じゃあ2択だよっ。当然2人とも生きたいだろうから、でーでん。試練を受けるのはどっち?」

うんちょっとついていけてない、俺。まず視覚情報からして意味がわからない。目の前にいるのは猫耳を着けた5歳くらいの男の子で、さっき神様だって言っていたけどとてもそうは見えない。あっでもかわいいもひゅもひゅしたい…。いやそれより、この状況。確か凛花とのデートの帰り、家の前で…あーそうだ、女に襲われたんだ…。うん、で凛花の方が重傷でってことは凛花も襲われたのか。そうだ凛花。

「よっ。整理出来た?君の彼女ちゃんは僕の保護下にあるよ。心配しなくて大丈夫。ただ今は死にもしないし目覚めもしない、って所。君次第で彼女ちゃんは目覚めるし、死ぬ。あ、あと僕は本物の神様だよっ!君たちが今日から付き合ってるってことも知ってるもんね!それにこれは猫耳じゃない!下界の声を聞くための僕に備わってるれっきとした耳だ!全く、ちょっと僕が可愛いからって。もふもふしたい?うふふ。したい?」

っ…。負けた…。可愛い…もふもふもふもふ…。

「えへへ。気持ちいいでしょ?僕の自慢の耳。ところでどうする?試練。ちなみに試練を受けないって選択肢は無いよ。試練を受けなきゃ2人とも、死あるのみ。だよっ。」

「その試練っての詳しく教えて欲しい。」

試練を受けなければならないのなら俺が受けるしかないと思う。凛花にそんなことさせられないし。このもふも…神様が本当のことを言ってるのなら死ななくて済むんだと思うし。簡単に信じるのは良くないかもしれないが希望があると言うなら信じてすがるしかない。

「試練はね、んー在り来りでもつまんないからね、どうしようかなあ。…。うん、とりあえず異世界に飛ばしちゃうから適当にそうだなぁ1年でいっか、1年生き抜いて。」

適当すぎて気が抜けた。

「じゃあ、いってらっしゃーい。また連絡するよ。まってて。」

「うわぁぁぁ!せめてもうちょっと心の準備をさせろぉぉぉ!」

「ばーいばーい。」

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