君が消えた後
動かされている点P
第0話
「智幸おはよ!一緒に行こ!」
私は凛花。今日から高校1年生。智幸は家が向かいの幼なじみで小学校の時から一緒に学校に通っている。智幸は頭が良くて私は可もなく不可もなく、といったところで一緒に通えるのは中学までかなと思っていたからまさかの高校まで一緒でちょっと嬉しい。
「なんで智幸もここなの?もっと上の学校行けたでしょ?」
「んー。凛花がいるからかな。俺ここ専願だったし。」
「えっ。」
「なんてな笑。テニスが件でいちばん強いの、ここじゃん。」
「ちょっとー!なんかドキッとしちゃったじゃん!ばか!もう先行くから!」
照れ隠しに背中をバシンと叩いて凛花は走っていった。
「本当はテニスよりも凛花なんだけどな。」
この言葉が誰かに届くことはなかった。
入学式の後、各教室でホームルームが終わり、下校。部活勧誘の網をくぐりぬけ、私は帰路に着いた。智幸はテニス部の入部届けを出してくるって言ってたし…まあ今日昼から映画に行くって約束してるし、家で待ってようかな。
「凛花ー!待ってー!一緒に帰ろう!」
智幸が後ろから走ってきた。
「届けだしてきたの?」
「おう。ばっちし。高校でも俺の勇姿ちゃんと見てくれよな。」
智幸の笑顔ってなんかいい…。私は部活に入らない主義で、理由といえば智幸の試合が見たいから。ほんとにかっこよくて好き。これからも私だけがずっと智幸のそばにいたい。
「ねえ智幸、私、やっぱり智幸のこと、好きだな。」
「えっ。」
「つきあっ…」
「待って!それは俺から言いたい!俺も凛花のこと大好きだった!ずっと!これからも!嬉しいな両想いだったなんて。凛花。俺と付き合ってください。」
「…!喜んで!」
思わず泣いてしまった。両想いだったなんて、嬉しすぎる。
「また後でな!飯食ったら凛花の家いくよ。」
そうこうしてるうちに家に着いた。ご飯を食べて着替えて。
「凛花ー。行こう。」
「今行くー!」
「はー!楽しかった!連れてきてくれてありがと!智幸。」
「こちらこそ付き合ってくれてありがとな。」
映画を見て、一緒に買い物まわって晩御飯食べて帰宅した。付き合った初日っていうのもあっていつもと何となく違う感じがしてすごく緊張もしたけどすごく楽しかった。
明日も明後日も、いつも通りだけどいつも通りじゃない毎日が来るんだなあと思いつつ家に戻ろうとしたその時
「凛花!うっ…。」
えっ…。情報処理が追いつかない。振り向いたその先に血塗れの智幸と返り血を浴びた女…。
「私が…私がともくんと付き合うはずだったのに!ずっとずっと見てきたのに!このクソ女!でも、ふふ。これで私のモノ。愛してるよともくん。でも最後にあの女の名前を呼んだのは許さない。」
「いやーっ!智幸、智幸!」
「うるさい!いっそあんたも死ね!」
うっ。かはっ。うそ。やだやだ死にたくない智幸ともっと一緒にいたい。もっと色んなところ行きた…。
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