第5話 ガムテープ対ふみ

 わしはやな、片付けが嫌いや。

 せやから流しの食器は、溜めて洗う。気ぃ向いたときに。


 けど、ふみが来てそれが出来んようになってしもた。

 ジャンプして上に乗ってまいよんねん。ほんで、流しの皿を舐めようとしよんねや。

 もうな、火ぃがあるとか包丁があるとか、そんなんより、皿に残った玉ねぎのカスの方がよっぽど危ないがな。

 猫には玉ねぎもネギもアカン。犬もせやった。


 どないしょ。


 台所、扉がないんや。

 出入り自由やねん。


 毎食後、片付けるか?

 そら無理や。


 ほな玉ねぎ食べんといたらて、そんなもん、わし、玉ねぎ好っきゃねん。


 何とか入らせへんようにするしかあらへん。




 そうめん食いながら、思いついた。


 せや。

 ガムテープや。




 ひっつく方が上になるようにして、台所の入り口に貼っていった。


 にゃー。


 今はアカン。


 にゃー。


 こら、邪魔すんな。


 にゃー。


 背中でガードして、何枚も貼ったった。




「よっしゃ!」




 出来たで。

 さあ、行け。

 踏め、踏んでみい、ふみ。

 どんなけベタベタで気色悪いかわかったら、もう通られへんようなるやろ。

 ほんだら、お前も危なないし、わしも心配せんでええし。

 ウインウインや。せやろ。

 ほれ、もうええど。

 行ったらんかい。




 ふみ、行った。


 足でちょんちょんやって。


 ひっついた!


 足、ぺぺぺぺて振りよった!


 どや、わかったか、気色悪いんや。

 もうここ通ったら……




 ピョーン。




 ふみ、飛び越えて台所に消えた。




「ア、アカーン!」


 さっき食うたそうめん、ネギのカス浮いとる!

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