第4話 貫通タオルケット

「んぐぉっ」


 な、何や……?

 は、鼻、痛い……。


 て、わしが思てる間に、


 だだだだだだだ。

 だん。

 どどどどどどど。

 どこん。


 真っ暗な部屋ん中、あっちこっちで音がした。


 ふみ、暴れとるがな……。


 またや。また始まった。また起こされた。

 何時やねん。暗いし時計も見えへんやないか。

 これ、わしの目ぇ開いてるんか。


「ふみぃ……」


 毎日、かなんで。

 わし、眠いねや。




 ふみは警戒心強ぉて、間違いなく怖がりや。ピンポン鳴って家に誰か入ってきたら、隠れてどこ行ったかわからんようなる。

 せやけど多分、気ぃは弱ないねん。いや、ほかの猫知らんからわからんけんど、むしろどっちか言うたら気ぃ強い方なんちゃうか。こんなけやんちゃで……アカン! こっち来よった!


 必死こいてタオルケットかぶった。体丸ぅして、つま先から頭まで全部。

 じいっと、死んだふりや。

 ちょっとでも動いたらアカン。

 しゃあないと、えらいことなる。


 昨日、足の指噛まれて、どんなけ痛かったか。


 ふみ、探っとる。

 ふんふん言うとる。


 我慢や。

 あっついけんど、我慢や。


 あつ。


 何で夏に頭からタオルケットかぶらんなんねん。

 いや、我慢や。


 どえらい生きもんやで、子猫っちゅうんは。

 夜泣きの代わりに夜狩りの稽古しよる。


 あっつ。


 はよ静まれ。

 寝てくれ、ふみ。


 わし、まだ眠いねや……
















「いだだだだっ!」


 こっ……小指っ……!

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