パスポート登録


 いま私は、アナスタシアさんの登録に立ち会っています。

 アナスタシアさんは、非常に恥ずかしそうに服を脱いでいます。

 ここからは、だれかが登録を代わってくれるのですが、アナスタシアさんとの約束があります。


 計測器が下りてきて、アナスタシアさんの体中を計測していきます。

 皆が恥ずかしがるのが、よく理解できました、かなり屈辱的です。


 肉体的にも精神的にも、操作しているのが分かります、また悪い箇所は、その場で再構成しています。

 身体の全ての寸法、身体の反応を図っています、足の指のサイズや、目の大きさなどは計測可能なところは全て計測しましています、大事な所も念入りにですよ。


 どうりで皆さん、出てきたときは汗をかき、上気した顔になるのかも理解出来ました。


 アナスタシアさんは、私の名を呼び続けています。

 私は手を握って差し上げました。

 アナスタシアさんは手を強く握り返してくれます。


 やっと終わりました……


「アナスタシアさん、手を離しませんか?」

「嫌です、離しません、私はイシュタル様の物です、棄てないでください」

 アナスタシアさんは涙目で私を見つめます。

 可愛いですね、思わず抱きしめて差し上げました。


 その後、私たちはバスローブを羽織り、リリータウンに入りました。


 アリスさんが、そして皆が迎えてくれます。

「お帰りなさいませ、そしていらっしゃい」


 アテネさんが、「私は一緒じゃなかった」と拗ねています。

 ダフネさんが、「まあまあ、後で一緒に可愛がってもらいましょう」

 一緒というのが気になりますが?


 ビクトリアさんがニヤニヤしながら、

「こんど、私もあるじ殿の名前を連呼しよう」


 アナスタシアさん、とにかく壊れかけています。

 私に秋波を送ってくれますが、清楚な方が必死に私を見つめるさまは、サリーさんとは別の意味で破壊的です。


 アナスタシアさんと私の部屋へ行き、をしました。

 アナスタシアさんは、私に抱きついて離れません。


「アナスタシアさん、お風呂に行きましょう、二人とも汗まみれですから」

「イシュタル様、お風呂とはどのようなものですか?」


 私は思い出しました、サリーさんとアムリア帝国を彷徨っていた時、たしか入浴は行水だったことを。

「裸になってお湯に浸かるんです」

「???」

「イシュタル様と裸でですか?」

「いけませんか?」

「幸せです……」


「アナスタシアさん、多分、皆さんも入ってくると思いますが」

「皆さん、裸でですか?」

「この習慣は、私の世界では一般的なのです、この町は私の世界に似せて作られています」


「アナスタシアさんにも、慣れていただきたいと思います」

「いろいろ戸惑うことがあると思いますが、皆いい人ですから、聞いてください」

「取りあえず行きましょう」


 アナスタシアさんを連れて、大浴場へ行きますと、やはりいましたね、まあ皆さんと裸の付き合いをしてもらいましょう。

 アテネさんが捕まっています、早くもアテネさんは馴染んでいますね、キャアキャアいっています。


「あぁ、アテネさん、良かった」、思わず呟くと、

「なぜですか?」と、アナスタシアさんが聞きました。


「アテネさんは私と出会う前、凄く悲しい生活をされていたのです。髪の毛が真っ白になるほど辛い生活で、ついには感情が無くなってしまって……」


「ああして笑っているのを見ると、本当に良かったと思うのです」

「サリーさんも酷い昔だったのです、やはり笑顔はいいものですね」

「イシュタル様……」


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る