ジャバの女王になりました。


 使者が来て、王の首を差し出します。

 アポロさんの手回しでしょう。

 何事もあっさりと終わるものです。


 今、私は国王の宮殿跡で、アポロさんと話しをしています。


「私の役目もここまでです、後は任せますよ」


「そうは行きません、この国はイシュタル様の物になりました」

「皆、イシュタル様なら、致し方ないと思っていますが、それ以外ではまとまりません」

「イシュタル様は、国民に任せるとおっしゃりますが、その国民は、物事の善し悪しを判断ができないのです」


「皆、命じられたことしかできないのです」

「私がイシュタル様と始めてお会いしたときに、イシュタル様は例え話をされましたね」


「『神様は実力行使にでます、そして再び問題をだしたという話』、私は驚愕しました」

「基本的に、私たちには、問題を出されて考えるという思考はないのです、命じられ実行するだけです」


「私はこの時、確信しました」

「イシュタル様はこの世界の人ではないと、その力は限りなく強大ですが、それは理解できなくはない、理解できないのは、その思考方法なのです」


「私はこの世界で、このような存在はあるのか考えました、そしてある神話に行き着いたのです」



 時が満ちれば、

 乙女を遣わしましょう。

 黒き瞳と黒き髪、

 正しきに会えば、慈悲の乙女、

 悪しきに会えば、英断の乙女

 黒の巫女現れるとき、

 父なる長老の慈愛が実りましょう


 我らは試練に打ち勝ち、正しい人となりて黒の巫女を迎え奉じ、

 この約束の大地の主人となれり。


 そして、残される子らに、こういい残した。

 女神からの黒き乙女、黒の巫女が現れるとき、頭をたれてお迎えせよ。心改め、我らの過ちを繰り返すな。



「これは父なるレムリアが、息子キンメリアに託した神話といわれています」

「神聖教の大賢者ならこの意味が分かるでしょうが、私には詳しく分かりません」

「しかし、いまのイシュタル様は、あまりにこの神話がふさわしい」


 このアポロさんは本当に鋭い、しかし困ったことになりました。


「では、アポロさんは、私に如何しろとお考えですか?」

「できましたら、イシュタル様には女王になっていただきます、ご迷惑は掛けさせません」

「その下で私たちが何とか、この国を立て直していきたいと思います」


 私は受け入れました、でも、

「それについては条件を呑んでいただきます、私は象徴として、お神輿になるのは了承しましょう」


「国の運営は合議制としていただきたい、軍部は暴走させないようにしてください」

「また私はあちこち移動します、ここには滅多にいないでしょう、なにかあれば、キリーにある私の館まで、内緒で来てください」


「管理人として、マリーという女の人がいますので、ヴィーナスに会いたいといえば、手配してくれるでしょう」

「私の館までの道は用意します、あなたとトール隊長だけは、通れるようにしておきましょう」


 アポロさんは、分かりましたと云いました。


 こうして私に、ジャバ王国女王の肩書きがつくことになりました。

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