デス・インストール


「ですから、そのようなことが起きそうになる前に、排除することにしました」


「ビクトリアさんから聞きましたが、マスターは山賊街道で、『死神』をイメージして出現させたそうですね?」

「いま出せますか?」


「それは出せますが、大丈夫ですか?」

「大丈夫です」


 リリータウンで、魔法はあまり勧められませんので、私たちはキリーの町の、亡霊の館へ一旦移動しました。

 マリーさん、怖がらないでね。


 私はイメージしました、鎌を振りかざす死神を……


 それが浮かび上がったとき、サリーさんもダフネさんも震えあがっています。

 小雪さんが死神に近づき、その胸に手を突き入れると、死神が掻き消えたのです。


「マスター、見ていてください!」

 小雪さんは、『死を司るもの、デス・イン』と叫ぶと確かに死神が出現しました。

 『デス・アウト』で掻き消えます。


「いまのは、マスターの死神のイメージを、簡易魔法にしたものです」

「マスターのオリジナルの、七割ぐらいの威力ですが、これを使えば、死の女王の従者としては十分でしょう」


「この『死神』を私以外にも、だれか使えるように、なっていただきたいのです」

「しかし、ここまで恐ろしいイメージですから、適格者は限られます」

 と、ビクトリアさんを見つめます。


 ビクトリアさんが、私という顔をしましたが、肩をすくめるだけでした。


 小雪さんは、ビクトリアさんの額に自分の額をくっつけて、デス・インストールと唱えました。

 ビクトリアさんの身体が震え、全身から冷や汗が流れています。


 しばらくそのままでしたが、やがて小雪さんがエンドといって離れました。

 ビクトリアさんの顔が多少蒼いです。


「ビクトリアさん、大丈夫ですか!」と聞きますと、

「大丈夫だがキツイ、あるじ殿はよく呼び出せるなぁ」と云います。


「確かに最強だ!」


「ビクトリアさん、呼び出してください」

 と小雪さんがいいますと、ビクトリアさんが、

 『死を司るもの、デス・イン』と叫ぶと、先程の死神が出現します。

 『デス・アウト』で掻き消えます。


「あまり嬉しくない!」

 ビクトリアさんの感想です。


「さて、そこで続きですが、マスターには死の女王として、ジャバ王国を見聞してもらいます」

「死の従者は二人、私とビクトリアさんです」


「私は皆さんご承知の通り、エラムでは三日しかおれません、一旦引き揚げている間、ビクトリアさんに負荷がかかりますが、よろしくお願いします」


 先程の死神を見せられては、サリーさんもダフネさんも文句はいえません、珍しく揉めずに決まりました。

 十日後に旅立つことを決めて、ひとまずお開きとします。

 私たちは再びリリータウンに戻ります。


 さて、お風呂に行くとしましょう。

 あれ、皆さんどうして一目散に戻るのですか?


 このまえ作った、大きなお風呂は快適です。


 だれか入ってきます、アリスさんです。

 アリスさん可愛いわ、でもお胸がないわね。


 サリーさんがやってきます。

 さては……このために……やはり……

 ビクトリアさんもダフネさんも小雪さんもやってきます。


 いつも思いますが、皆さまえらく綺麗です。

 のれんに『美女湯』と掲げましょうか。


 珍しくエロ無しで楽しく入浴、その後の夕食は、チケットピンチの私が料理を作るということで、皆さんに材料を買ってもらいました。


 主人の威厳は、近頃かけらも存在しません。

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