いつかお姉様のように……


 私の着ていた服をマリーさんへ差し出して、

「これを着て服を買って来てください、サリーさん、お願いします」

 ふと見ると、マリーさんも、私をうっとりと見ているような気がします。


「マリーさん、どうかしましたか?」

 マリーさんが、

「お嬢様は女神さまみたいです、あまりに美しすぎて、罪ですわ」

 マリーさんまで……とにかく無視しておきます。


 このままでいると、おかしなことが発生しますので、素早くセーラー服を着こみました。

 サリーさん姉妹を買い物に追い立てて、一息していますと、ダフネさんがピッタリとくっつきます。

 オオカミさんが一匹残っていたようです。


 ダフネさんが、

「それは異国の衣装ですか、初めて見ました、それにしても一段とお綺麗です」

 と、ピッタリとくっついてきます。


 私はダフネさんの頬を、両手でそっとおさえ口づけをして、

「ダフネさん、しばらくおあずけね」

「巫女様のいじわる」と、可愛く答えてくれました。


 サリーさん達が帰ってきました、ダフネさんが少々拗ねています。

 サリーさんは少し笑って、「抜け駆けはいけませんよ」


 マリーさんが、

「サリーお姉さまが羨ましい、私もいつかお姉様のように……」

 私は「マリーさんはいけません」とすこしきつく言います。

 と、マリーさんが、

「私もお嬢様に買われた身です、同じ方にお仕えしたいと思っています」

 などと云うのです、なんでこうなるの……


 気を取り直して、「とにかく行きますよ」と声を掛け、ダフネさんの手を取り、サリーさんはマリーさんの手を取り、空間にドアを開け潜りました。

 すぐにキリーの町の、亡霊の館をイメージして、ドアを開けました。


 あれ、ビクトリアさんがいる。

「あるじ殿、どうしたか?」

 というので、マリーさんを紹介して、これまでの経緯を説明しました。


 ビクトリアさんが、サリーさんによかったな、といい私に向かって、「また増やすのか」と嫌味を云いますので、マリーさんは違います、と答えました。


「それにしても、あるじ殿のその姿は美しいな、ぞくぞくする」

 ビクトリアさんへも「おあづけ」といいますと「忘れないでくれ」と、秋波などを込めて云います。


 で私が「今回は急ぎますので」と言い、サリーさんに、

「後はお願いします、終わったら戻ってきてください、それから私の服も返しくださいね」


「この服装のままでは、少し都合が悪いですから」

 と言い残し、私たちは、先程とは逆の方法でスイートルームまで戻ってきました。


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