館の管理人


「さあサリーさん、マリーさんの今後について、話し合いましょう」

「私たちのことは、マリーさんにはまだ話していませんね」


 一応サリーさんは、私に仕えている身で、私に大事にされていると云ったそうです。


 ダフネさんが笑いながら、

「さすがサリーさん、では私もそのように説明させていただきましょう」

 ダフネさんまで……

 これ以上関係者が増えないように、努力してください。


 三人で協議した結果、マリーさんは、キリーの町の亡霊の館の管理人となっていただき、ミハエルさんに後見をお願いすることにしました。

 ミハエルさんには、確か孫娘がおられるはず、いいお友達ができるでしょう。


 ダフネさんには、亡霊の館の件を説明しておきました。


 サリーさんに、マリーさんを呼んできてもらいました。

「マリーさん、貴女の今後のことですが、サリーさんとも相談の結果、マリーさんに私の別荘でもある、亡霊の館の管理人をしていただきたいと思います」


「亡霊の館といいましても、あまりにボロなので、そのように呼ばれているだけで、不都合なものが出るわけでもありません」


「漁師町にあるので、町の人の気性は少々荒いですが、そんなに悪い人はいないはずです」

「私たちが一緒についていきますので、心配はありません」


「館へついたら、サリーさんと一緒に、ミハエルさんを訪ねてください、サリーさんが一緒ですので、悪いようにはしないでしょう」

「しかしこれから、言うこと、見ることは、口外無用です、お約束いただけますか」


 マリーさんは、

「命に掛けてお約束いたします」

「私はお嬢様に助けていただいた身、お嬢様にためにならないことは喋りません」

「お嬢様の、別荘の管理人にしていただけるなんて、身に余る光栄です」


 私はふと、マリーさんの服に気がつきました。

「ごめんなさいね、マリーさんの服に、いままで気が回らなくて」

「サリーさん、マリーさんと一緒に、服を買いに行ってくれませんか、なるべく女の子らしい可愛い服を」


「外に出るにしても、その格好ではいけませんね、幸いマリーさんは私より年下と思いますが、背格好は私と同じようなので、とりあえず私の服を着ていってください」

 と、私は服を脱ぎだしました。


 サリーさんはあわてて、「お嬢様、あまりにはしたない」


「大丈夫、とりあえずこれを着ておきますから」

 といって姉にもらったセーラー服を取り出しました。


 ダフネさんが、私の下着姿に目が輝いています。

 ちょっと貞操の危機を感じさせる目つきです。

 あれサリーさんまで……


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