責任を取って!


 次の朝、私はふらふらになりながらも、二人のために、白粥の缶詰を温っためています。

 私のチケットですよ、ここはエラム、倍額ですが、いたし方ありません。

 後で百円電卓と、百円で購入したノートのお世話になりましょう。


 さあビクトリアさん、ダフネさんも、下痢のあとは白粥と相場は決まっています、梅干を添えて二人に勧めました。


 二人は食欲がなさそうです、勿論私もそうですが、何か食べなくては枕もあがりません、さぁ嫌々をせずに食べましょう。


 昼ぐらいには、ビクトリアさんはさすがに鍛えている身体なので、完治したみたいです。

 私はお腹がごろごろしています、ダフネさんにいたってはまだ寝込んでいます。


 ビクトリアさんには悪いですが、まだ病人食で我慢してもらいましょう。

 そうですね、うどんでもつくりましょう。

 私は冷凍のうどんを、小さいカバンよりとりだして、二人分つくりました。


 ダフネさんは、また白粥にしていただきます。

 まだぐったりして、食事も嫌がりますが、私の責任も少しありますので、断固として食べていただきます。

 スプーンで食べさせてあげました。

 ダフネさんは、嫌々をしますが却下です。


 夕方には、だいぶダフネさんも良くなってきましたので、ポタージュスープなどを食べさせて、私たちは軽くインスタント麺で済ませました。


「ビクトリアさん、御免なさいね、明日あたりは、私のおごりでご馳走を出しますから」

 と言うと、ビクトリアさんは「チョコレートがいい」といいます。

 サリーさんといい、ビクトリアさんといい、本当に甘い物好きです。


 で、ダフネさんを見に行くと、汗を一杯かいていますので、体を拭くことにしました。

 ビクトリアさんに頼んで、お湯を沸かしてもらい、私がダフネさんの身体を拭きました。


 ダフネさんは、結構危ないことを云っていた割には、すごく恥ずかしそうにして、もうお嫁にいけないと、戯言を云っています。

 推定四百歳のおばあさんが、寝言をいってはいけません。


 私に向って「鬼、責任とって」と、戯言の続きをいいますが、私は「はいはい」と返事をしときました。

 これがいけませんでしたね、諸悪の根源は私の生返事でした。


 ダフネさんのお家での三日目です。

 ダフネさんもすっかりよくなり、なにか朝からご機嫌です。


 なぜかパタパタと家中の掃除を始めたかと思うと、手紙をせっせと書き始めました。

 かなりの数を書き終わると、「巫女様、お綺麗ですわ」と云って、今度は戸締りを始めます。

 なんか鼻歌が出ています。


 ビクトリアさんが、

「いやな予感がする、あるじ殿もそう思わないか?」と云います。

 私も、「嵐が来る気がする、これは早くお暇しましょう」と答えます。


 ビクトリアさんが頷くので、ダフネさんに、

「ダフネさん、お体も良くなったご様子なので、私たちもお暇しようと思います」

 と言いましたら、ダフネさんが、

「もう少し待ってください、私の準備がまだなので」と云います。


 ますます嫌な予感がします。

 ビクトリアさんが、「私の準備と云っているが」と呟きました。

 本当にまずい気がします。


 ダフネさんがやってきて、「お待たせしました」って、どういう意味ですか。

「あら、私も一緒に行きますわ、だって責任取るって云ったじゃないですか、巫女様」

「責任って、どの責任ですか?」


「乙女の裸を見て、責任を取るといった以上、することは一つでしょ」

「ダフネさん、どこをどうつつけば、そのような結論になるのですか!」

「当然です、処女の身体をあちらを触り、こちらを弄り、私の胸を撫で回し、挙句に私が泣いて責任を取るのかと詰め寄ると、責任を取ると云ったのは巫女様です」


 ビクトリアさん、私は頭痛がします、何とかしてください。

「巫女様、私は全てを捧げたのですから、一生お側にいます、嫌われてもです」

「さぁホラズム王国へ、私が案内しますわ」


 そもそも、私たちがホラズム王国へ行こうといっていたのは昨日の夜、ダフネさんが寝入った後のはず。

 ビクトリアさんと一緒に寝ながら、話し合っていた時……


 ダフネさん、見たでしょう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る