町の願い


 あくる朝、私はすっきりと起きました。

 ビクトリアさんはまだぐったりです。


 朝からお風呂に二人で入って、ビクトリアさんの体を洗って上げます。


 ビクトリアさんが、

「恥ずかしい」と小さな声で云います。


「ビクトリアさんには申し訳ないけど、私はサリーさんもアリスさんも小雪さんも大事です」

「皆平等に好きです、それでいいですか?」

 ビクトリアさんが、

「私はどこまでも、お側に居させていただきます」

 といってくれました。


 私たちが遅い朝食を済ませていると、お爺さんを先頭に、町の代表の方々がやって来ました。


 私が何か御用ですか、と聞きますと、

 お爺さんが、

「町を代表して、お願いしたいことがありまして」

「なんでしょうか?」

「実は魔女さんに、この町に住んでいただけないかと」


 私は難しい顔になりました。

「常に住んでくださいとはいいません、たまに戻ってきて欲しいのです」


 私が何故ですかと聞くと、お爺さんは、

「町のもんは皆、あんたが好きなんじゃ」


「別に何をしてくれという訳ではない、ただ、このままあんたらが去ると、二度と会えないと皆、確信しておる」

「あんたらがいると町が明るくなった、アリスさんが走ると、皆ほっとする」


「ビクトリアさんと、酒を飲みたい者もわんさかいる、まぁ良からぬ思いで、酒を飲む者もおるが、というのも理由の一つだが」


「小雪さんには町を守る技術を教えて欲しい、この町は帝国領だが、帝国にも見捨てられている、何も無い漁業だけの町なので帝国は守ってくれない」


「このままでは町は滅びてしまう、ご存知のように、歩いて来るものはだれもいない、魔女さんが来たこと事態が異例中の異例だった、ここに来るまでにまず食われてしまう」

「町に入るには港から入るしかない、しかしその港を守るためには武術が必要なんだ」


「もう一つ、サリーさんには、町の女に女らしさを教えて欲しい」

「もう少し色気を出してもらわなければ、男がいつかない、最後に魔女さんたちの明るさは救いだったんだ」


 どうしたものか?


「魔女さんのことはだれもいわないことにする、これはなんにかけても誓う、もし破れば魔女さんの力を行使してくれ」

「虫のいい願いとは承知している」

「お願いだ、時々ここに戻ってくれ、そして町を守る技術を教えてくれ」


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