選り取り見取り、取り放題じゃ


 ウミサソリキングを退治するため、問題の海岸へと、若い猟師さんに案内されます。

 断崖の下によくいるそうです。


 そうそう、この若い漁師さん以外にも、ギャラリーがいるわいるわ。

 よっぽど女が珍しいのでしょうか?

 案内の若い漁師さんは、なんかしどろもどろで説明しています。

 そこのご老人、貴方が説明してくださいよ。


「お爺さん、私たちにはウミサソリキングよりも、このギャラリーが危険なんですが!」

 お爺さんは、

「ゆるしてやってくれ、嬢ちゃん達があまりに別嬪すぎるんだ、罪はそちらじゃ」

「まぁ不測の事態は起きないと、わしが保障する」


 まったく食えない爺だこと。


 アリスさん、ちょろちょろ走らない。

 そっちは野獣の群れですよ、狼の前で遊ばないの!

 あぁ、裾がからげてます、はやく下ろしなさい。

 サリーさんが慌てて捕まえにいきます。


 サリーさんにアリスさんを抑えてもらっている間に、崖の下の洞窟より、一匹のウミサソリキングが出てきました。


 あれにしましょうか、私は電撃杖の先をその標的に向け、「サンダーイン」といい、雷撃を放ちます。

 なぜストロングがつかないかって?

 ここでそんなに凄いのを出す必要がありませんし、さらに警戒されるのも翻意ではありません。


 バチと音がして、青白い稲妻が直撃しました。

 炭にはなりませんでしたが、ウミサソリキングは動かなくなり丸焼け状態です。

 と、別のウミサソリキングが数頭出てきて、共食いをしています。

 ちょっとグロっぽくて、あまり気持ちのいいものではありませんね。


 私は「これでいいでしょうか?」と、電撃杖の先をお爺さんに向けて、微笑んで差し上げました。


「魔女さん、失礼した、この町へは長くご滞在の予定か」

 と聞かれるので、

「妹に海を見せたかったので、そんなに長くはいないつもりですが」

 と返事します。


 お爺さんは、

「腕を見込んで頼みがある、ぜひ町のために、この下の洞窟に住むウミサソリキングを退治してくれないか、宿代は無料にするから」

 報酬が宿代ですか?


「この町は貧しいので、報酬は差し上げられん、代わりにこの男たちではどうじゃ」

 馬鹿はあの世でいってください。


 私が多少、怖い顔をしますと、お爺さんはポンと手を打って、

「これは失礼した、魔女さんはそっちが趣味か」

「わかった、町中の女でどうじゃ、選り取り見取り、取り放題じゃ」

 爺さん、しまいにぶちますよ。


「とにかくわかりました、でも私たちは長くおられません。妹は所要があって帰らなくてはなりません、お友達も同じく用事があります。」


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