第六章 海辺の家

籤引き


 私はエラムを視察する旅へ出ることにしましたが、だれが一緒についていくのかで揉めています。


 とこかくおさまりがつきません、これは籤引です、文句なしの運だめし。

 私は四人の名前を書いた籤を作り、袋にいれて皆に差し出しました、籤を説明して、さぁ運だめしです。


 アリスが当てってしまいました。

 残りの三人が、「アリスじゃ無理だ」とか色々云っています。

 問答無用の運だめしのはずだったのですが……


 どうしましょう、ここは居直りますか?

「では残りの皆さまは、どうしたいとお考えですか?」と言うと、サリーさんが、「皆ついて行きたいに決まっています」と、云います。


 だめです、これは絶対おさまりません。

 しかたありません、かしまし軍団にはだれもかないません。

 大阪のおばちゃんに、口で勝とうとするようなものです、道理を引っ込めましょう。


「ではこうしましょう、アリスさんとサリーさんで三日間、小雪さんとビクトリアさんで三日間、これでアリスさんと小雪さんは納得しますね」


「これ以上、お二人は無理なので、その後はサリーさんとビクトリアさんで、ついてきてください」

「小雪さん、一旦戻ってリセットは、今回却下します」

「なんといっても、今回お二人は初めてですから、と、ここでエロい突っ込みはいりませんよ」


「さあアリスさん、サリーさんも、今回はアリスさんの遠足です、三日間楽しみましょう」

「小雪さんも楽しみにしていてください、三日間の遠足を」


 ここはアムリア帝国北西の海辺の町、その近くの浜辺です。

 この世界というより、この大陸の気候は乾季と雨季に分かれます。

 今は乾季、旅行には最適です。


 私たちは海水浴をしています、この世界では海水浴の習慣はないそうです。

 太陽の光を浴びて、ビタミンDを生成しなければ、骨が脆くなりますよと、教えて差し上げました。

 でも、とサリーさんが云いかけました。


「海辺には海獣がでます」

 そう、でっかいのだそうです。


 私はアリスさんに、対策を聞いてみました。

「お姉さまが、ぶっとばせばいいのですよ」

 聞くだけ無駄ですね。


 私がぶっとばさなくても、貴女がぶっとばせばいいじゃないのですか!

 貴女も基本、ミニチュア小雪でしょう!


 といっても、安全は確保しなければなりません。

 何といっても私たちは美女です、目の保養はさせても、命は大事です。


 私の周り二十メートル四方の立方体に、魔法の防御フェンスをイメージしました。

 勿論、足下の砂の下にもですよ。

 檻の中にいることになりますが、大事なサリーさんとアリスさんのためです、我慢しましょう。


 たちまち電撃フェンスが廻りを囲みます。

 サリーさんとアリスさんに、十分気をつけるように注意し、私はブルーの、ポップアップワンタッチテントを取り出します。


 小さいカバンから大きいカバンを出して、

 その中より大型の収納バックを出してと……


 大きな荷物を取り出すときは不便ですが、まぁ仕方のないことですね。

 早く個人用の異空間倉庫を作りましょう。


 プライベートビーチに青いブルーのテントが三つ、絵になる景色です、この電撃フェンスさえ無ければね。

 さぁ、美女は水着に着替えましょう。


 サリーさんとアリスさんがはしゃいでいます。

 なにが可笑しいのか、私には分かりませんが、楽しそうな姿が見ていると、心が明るくなります。


 私はキャンプの定番、カレーを作っています、といっても缶詰のカレーですが。


「二人とも食事ですよ」と呼ぶと、二人がこちらへ走って……


 と、フェンスの後ろに、でっかいものがついてきますよ、まぁ電撃で真っ黒でしょうが。


 バチと音がして、何かが黒こげになっていますが気にしません。

 しばらくしたら別のものが来て、もっていくでしょうから。


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