アンドロイドは嘘をつく……


 愛されたい?と云いましたか。


「当然です、私はマスターのものに、なるようにも作られています。アリスも同じです」

 と云って私の手を取り、私の寝室へ引っ張っていきました、勿論アリスも連れて。


 ことが終わって、私がぐったりしていると、サリーさんがものもいわずにドアを開けます。

「お嬢様、お楽しみは終わりましたか」

 言葉の響きに棘があります。

 後ろからビクトリアさんが、同じような嫌味を云います。


 小雪さんが黒髪を整えながら、

「マスターはお上手でした」と挑発的です。

「私はマスターのためのものですから」、小雪さん、その云い方は止めてください。


「ここはマスターのためのリリータウンです、マスターが全てにおいて優先される街です」

「貴女たちは、マスターとエラムで旅ができます、私たちはお留守番です」


「待つ身の寂しさは、女だったら知っているでしょう、アンドロイドといえど寂しいのです」

「マスターが居ないのは怖いのです、もうすぐマスターはエラムへ行かれます、そのことを考えるとアリスは毎日泣いているのです」


「私もマスターと別れると理解したとき、アリスの涙が分かりました」

 小雪さんに涙が見えます、アンドロイドでも泣くのですね。


 サリーさんは黙ってしまいました。

 ビクトリアさんが、「皆同じだな」といい、私に向って「また責任が増えたな」と云います。


 サリーさんが、「そうですね、私はお嬢様が、だれと愛し合おうと構わないわ、ここはリリータウンですもの」


 リリータウン社会人講座、色々有りましたが、この人たちを守るのだと、誓ったのは確かです。


 あれから小雪さんは、皆に魔法の基礎を教えています。

 また地球でいう武術も、サリーさんとビクトリアさんへ教えています。

 小雪さんの強いこと、ビクトリアさんも瞬殺ですね。


 サリーさんにあった、わだかまりも今はなくなり、私のことなどを、ビクトリアさんなどと話しています。


 もれ聞こえたのですが、どうしたら私を誘惑できるか、などのテクニックを交換しているみたいです。

 アリスも入っていこうとしますが、「まだ子供でしょう」と、一蹴されてふくれています。


 なんの武術を教えているかと聞くと、サリーさんには合気道、力のないサリーさんにはうってつけでしょう。

 魔法と複合しての格闘方法も教えています。


 ビクトリアさんは、ムエタイとイスラエルの格闘術と、さらに支給したボウガンの、『よりしろ』などの使い方を習っています。

 ムエタイって最強といわれていませんでしたか?

 時々、木刀を振り回していますので、どこかの流派の剣法も習っているのでしょう。


 ということで、私は三人の洗濯などをしています?


 小雪さんに、

「マスターは洗濯上手です、この白さは感動します、尊敬しています」

 などと云われて、つい安請け合いをしてしまいました。

 おかげで私は、三人の主筋しゅすじのはずなのに、下着などを洗っています。


 その昔、ビクトリアさんの下着の件で、烈火のごとく怒ったサリーさんはどこへ行ったのでしょう。

 でも、三人が仲良くなったのは、いいことですね?


 どうしてこうなったのか、エラムへ転移した日からこちら、時の流れを振り返る私でした。

 アリスさん?私はロリコンではないのです……

 で、アリスさんはぷんぷんしています。


 ところで、アンドロイドはエラムには行けないの?

 と聞いてみましたら、三日を限度に、私が許可すれば可能になるそうです。

 つまり持ち出し可能期間というやつだそうです。


 だったらたまには一緒に旅をしましょう。


 でも、そうならあの時の小雪さんの言葉は……

 アンドロイドは嘘をつく……


 まぁ方便としておきましょうか。

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