異空間倉庫


 午後のティータイムを、クッキーと紅茶で済ませて、私たちは苦手な婦人学を受けています。


 淑女の立ち振る舞い、表情の作り方、話し方などが、徹底して仕込まれていますが、これに関しては、私とビクトリアさんは、ともペケです、お話になりません。

 ほら、ビクトリアさんが、さっきの食事の仕方について注意されています。


 小雪先生の厳しいこと、をするのは難しい。

 不思議なことに、サリーさんとアリスさんは優等生なのですよ?なんでも昔、行儀見習いをしたことがある?らしいのですね。


 かろうじて私は、ついていっていますが、ビクトリアさんは死んでいますね。

 明日は最終テストなのに大丈夫でしょうか?


 夕食をインスタント麺で済ますと、私たちはお風呂に一緒に入り、そのままサリーさんとビクトリアさんの、算数と理科の勉強を見ています。

 明日はテストですので、多分このまま私の部屋で寝ることになるのでしょうね。


 今日は最終日でテストの日です。


 朝からテストを受けていた私たちは、夕食の席上でその結果を待っています。

 私の落第点は婦人学で▼10,000円、サリーさんも理科で▼10,000円、ビクトリアさんは婦人学と理科▼20,000円となりました。

 アリスさんは何とか合格しましたが、ビクトリアさんは、しばらく禁酒ですね。


 で、私たちはチケットの残高を、百円電卓で計算しています。

 何とか私とサリーさんの赤字は、避けられたようですが、ビクトリアさんがため息をついていました。


 まぁビクトリアさん、たまにはビールぐらい、おごってさし上げますよ。


 その後、私たちはこの教室を会議兼集会室にしました。

 リリータウンは狭いので、この大空間を置いとくのは勿体ない、有効活用させていただきます。


 異空間倉庫をさらに作ろうとしたら、小雪先生がご自分の住む場所を作ってください、といい出しました。


 訳を聞くと、小雪先生はこのためだけに製造されたアンドロイド、目的が終了したので廃棄となるとのこと。

 で、短い期間でしたが、私たちと触れ合い、感情というものが芽生えて、このままここに居たいと思うようになったとのこと。


 このようにいわれれば、私に拒否の選択はありません。

 サリーさんもビクトリアさんも頷いたので、サリーさんの居住スペースをイメージして、二つ作ってみました。


 なぜ二つかですか?やはりシンメトリーの問題ですね。

 その勢いで新しい集会室の下、リリータウンの1Fに大きな浴場と、その2Fに大きな食堂とロッカーを作りました。


 いま目の前で、小雪先生が両膝をつき手を差し伸べて、誓っています。


 そして、サリーさんやビクトリアさんに向って、

「私はご存知のように、アンドロイドというものです、皆様のお仲間になりますが、よろしくお願いします」

「また今夜は僭越ながら、マスターにアリスともども愛されたく思います。今日一日はお許しください」


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