第五章 勉強会

学問のすすめ


 ゆるゆると、リリータウンで静養中の私たちでしたが、そんな太平の夢は続きません。


 ある時、サリーさんとビクトリアさんが、チケットのポイント計算で、四苦八苦しています。

 で、通販カタログの百円電卓を、私のチケットから出してプレゼントしましたが、基本的に数学の知識というより、算数の知識が低いことに、気がつきました。


 私は数学者でもありましたので、このことについては許せません。

 せめて四則計算ぐらいは、何気なく計算して欲しい。


 私は講座を開くことにしました。

 生徒は、通販カタログシステム破壊者の二人です、妙齢の美女二人を、ビシビシとしごくのは、ある意味快感ですね。


 私はこのような勉強会を、スクールと名づけました。

 彼女らには、黒船が来たようなものでしょうね。


 その黒船があろうことか、私にもやって来ました。

 学校が始まったのです。


 その人は小雪といいました。

 ある時アリスさんが、私たちに案内状を持って来たのです。


 そこには『リリータウン社会人講座のご案内』とありました。


 講座は、1算数、2理科、3エラム史、4エラム地政学、5婦人学、と書かれています。

 スケジュールは九十分単位の五時限で、休憩十五分、昼食一時間、ティータイム三十分になっていました。

 でも婦人学って初耳です、女性論ならまだわかるのですが。


 私たちがそれを食堂で見ていると、

「皆さん、こちらを向いてください」と、声が聞こえます。


 振り向くと黒髪をショートカットにした、小柄で優しそうな女性が立っていました。

 スクリーンで見た、往年の女優に良く似ています。


「突然ですが、皆さまにはリリータウン社会人講座を受講していただきます」

「最低限の知識の習得をお願いいたします、拒否はできません」


「私は小雪といいます、明日から十日間、皆さんの教師を務めます、どうかよろしくお願いします」


 と、ペコと頭を下げました。


 私はこの人に癒しを感じましたが、リリータウンに、普通の女性は存在しない法則があるのを忘れていました。

 優しそうなのはうわべだけ、小雪先生、とてもクールで、あまり笑わないのです。


「マスターは算数と理科は免除とします、最後にテストがあります」

「皆様のやる気を引き出すために、点数によってチケットの増減をいたします」

 私、文系は苦手なのに……特に婦人学なんて……


「今回の件は、マスターの講座の有効性が認められて、私が製造されました、文句のある方はマスターへお願いします」


「マスターは理科と算数に関しては、学ぶ必要がない状況です」

「ためにマスターは午後からとなりますので、午前の一時間目はエラムの常識、二時間目はアリスとともに、この期間中の昼食の用意をお願いします」

「材料の種類が限られますが、栄養学の知識を動員して、おいしい食事を期待しています」


「アリスはマスターから料理について学ぶように、アリスにも最後はテストを課します」

「落第したら第一倉庫の管理人の補助を命じます」


 アリスさんが、「マスターと離れるのは嫌!」と、ごねると、小雪先生は、「では落第しないように精進しなさい」と、云ったのです。

 

 ご立派!


「マスターは皆のために、筆記用具とノートを提供してください、マスターのチケットで」


「なんで私なのですか!」と、苦情をいいますと、「皆の保護者でもあるからです、保護者は学費を払うものです」


 私は支払いました、ついでに二人には、私と同じセーラー服でも着てもらいましょうか。


 サリーさんが不安そうです。

 ビクトリアさんも「勉強なんて嫌だ」といっています。

 私は、「がんばりましょう、お昼は美味しい物を作って差し上げますから」と慰めています。

 私は、「がんばりましょう、お昼は美味しい物を作って差し上げますから」と慰めています。


 あらら、私はいつからお姉さんになったのでしょう。


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