第四章 リリータウン

代理の手紙


 図書館通いに飽きてきたので、次はどこへ行くかと考えていました。

 サリーさんが小さいカバンから、何かを取り出しています。


 手紙です。

 また来るとは思いませんでした。

 今度はエラムの言語です。



 ご報告


 黒の巫女様におかれましては、エラムでのご見聞、どのように思われているのかと心配しております。

 我々は貴女様のご判断に対して、意義は申しませんが、できるならば救うほうで、ご判断願いたいと思っております。


 ところで、黒の巫女様転移の際のトラブルで、巫女様の居住スペースにトラブルが発生しました。

 いままで改修いたしておりましたが、この度やっと完了いたしましたので、巫女様におかれましては、ご見聞願いたくお願い申し上げます。


 サリーを大事にされているようですが、サリーはパスポート登録者ですので、気になさることはありません。

 またもう一人、パスポート登録者候補がおられるようですが、この者を登録するには、パスポート登録がどのようなものかを知った上での、本人の承諾が必要です。


 我々が掴んでいる、ビクトリアと呼ばれるこのパスポート登録者候補は、現在、年齢は三百七十二歳、エラムでの有数の戦闘力を持ち、黒の巫女様の従者としては、うってつけとは考えます。

 本人が非承諾の場合、その部分の記憶だけ消さしていただきます。

 ビクトリア嬢の安全は保障できますので、黒の巫女様はご心配することはありません。


 パスポート登録がどんなものかは、少し恥ずかしいことになりますので、巫女様といえ登録者本人のために申し上げないこととします。

 ビクトリア嬢には、サリーから、このことに対して説明させてください。


 この手紙を記述いたしますのは、先の手紙を記述した者の代理ですので含みおきください。

 ご見聞の際に、パスポート登録、居住スペースなどの説明の者が伺いますので、お聞きください。


   あなた様のしもべの代理より



 私はサリーさんに向かって、居住スペースが修理できたことと、ビクトリアさんへ、パスポート登録の説明をするようにお願いしました。

 サリーさんは恥ずかしそうな顔をします。

 いったいどんな恥ずかしいことなのでしょうか?


 私はビクトリアさんへ向かって、本当のことをいうことにしました。


「ビクトリアさん、大事なお話があります」

「ビクトリアさんとともに、幾日を過ごしましたが、私に対してのお気持ちは、その後、変わりませんか?」


「私たちはいまから、ビクトリアさんの知らない遠いところへ行くことになりました、帰れない可能性があります」

「私としては、ビクトリアさんのお気持ちを大事にしたいので、ここで再度お気持ちをお聞きしたいと思います。どうぞ、ご自分のことを大事にお考え、お返事ください」


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