女性の地位
サリーさんに懸念を伝えると、お得意のカバン探しをし、拳銃のようなスタンガンを取り出しました。
これって銃弾の代わりにダーツを打ち出すもので、約九メートルの射程距離、四秒の電撃オフ時間らしいです、アメリカの暴徒鎮圧用ではありませんかね。
サリーさんが云うには、これを持って行けと、その物品の管理する方がいったとか。
一度私も会ってみたいですね。使い方は私に聞け、らしいです。
とりあえずホルスターを、ベルトに通しましょうか。
スタンガンの使い方をサリーさんに教えて、私たちの武器は一旦カバンの中へ突っ込みました。
どうしたらこんな小さなカバンに、この警杖が入るのか不思議ではあります。
昼まで歩いたでしょうか。
お腹が減ってきたので、食事でも出してもらおうかと考えていたところで、森を抜け、彼方に集落が見えてきました。
街というより村で、本当に寒村という感じですね。
見るからに寂しそうですが、しかし街道が通っているらしく、それで成り立っていると思えます。
とにかく私としては、この世界で始めての集落です。
また、サリーさん以外の人にも初めて会うことになります、期待と不安が交差するのは、否定できません。
サリーさんが振り返り、
「お嬢様、ガルダ村が見えてきましたが、ここからは私の指示に従ってください」
「ここはアムリア帝国の領地で、帝国の治安は劣悪なんです」
「フードも被ってください、お嬢様は美しすぎて、皆が怯みます」
美しすぎて怯む?意味が理解できないのですが……
でもサリーさんの云うことを聞いて、フードを被りました。
凛としたサリーさん。
頼もしく感じた私は、「よろしくお願いします」と、頭を下げます。
「お嬢様、この世界では使用人には頭など下げません。私はお嬢様と呼びますが、この世界の貴族の娘は使用人など呼び捨てです。」
「どうぞここから先は、私をサリーと呼び捨てにしてください」
「でもサリー、私が貴族の娘なら、供もサリー一人では怪しまれるのでは?」
サリーさんが云うには、この世界は酷い男尊女卑で、たとえ貴族の娘でも、使用人は一人ぐらいしか付かないとのこと、さらに重大なことを聞きました。
このアムリア帝国では、貴族の娘といえ、親の承諾さえあれば、女は売買の対象になるという。
皇女とて莫大な金額を積めば、売り飛ばされることも……
他の国も似たり寄ったりではあるが、ジャバ王国はさらに悪いとのことでした。
ただエラム唯一の宗教を司る、神聖教教団では女性の地位はそんなに低くない。
この世界の最高権力者たる神聖教大賢者は、女性に限定されているということも聞きました。
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