第二章 目覚め

貴族の娘と使用人


 朝がやってきました。

 どの世界でも朝は来るらしく、私たちはサリーさんのワンピースを敷物に、私のセーラー服を掛け物にして寝ています。


 体がだるくてしかたがありません。

 しばらくサリーさんの、栗毛色のポニーテールをいじっていると、だんだん昨晩のことを思い出して、穴があったら入りたい心境になりました。


 本当にどうしてくれようか、沸々と黒い炎が湧き上がってきます。

 サリーさんを見ているとまったくツネッテやりたくなりました。

 この悪いお乳、悪いお尻……


 あれ、私いま女言葉で思考していませんか?


 サリーさんも目が覚めたようです。

「おはようございます」

 サリーさんに服をお願いしますと、「少々お待ち下さい」と云って、見たこともない服装を、小さいカバンから取り出しました。


 サリーさんが、服の着方を説明してくれました。


 さて私たちは、サリーさんの説明による現地の女性の服装をしています。

 どうしてかというと、私は世界を救う判断をしなければならないのです。

 その為、世界を見て歩きたいという、私の希望をサリーさんが受け入れたためです。


 この服は一枚の大きな袋に、頭と手の穴が開いていています。

 頭と手を通し貫頭衣のように着て、細いベルトを締めるものです。

 フード付きですね。


 本当はサンダルのようなものを履くのですが、足がむき出しになりますので、森を抜けるために、ブーツのような太ももまである、編み上げの靴を履いています。


 服は結構ぶかぶかなので、体のラインが分からないのはよいことですが、サリーさんがご自分の服に対して、なにかをしているのです。


 サリーさんと私の服は、少し違っています。

 私の方は刺繍や飾りでゴージャスなのです。

 この服は貴族の娘の服装で、サリーさんはその使用人だそうです。


 サリーさん、その体のラインを強調する着方はやめませんか?

 まるで殿方を悩殺するかのようですが……


「だってお嬢様に捨てられないためには、いつも挑発しなければ!!!」

 サリーさん、私は頭痛がしてきました。


 さて行きましょうと、サリーさんにうながされて、このフィールドを後にします。

 見るもの触るもの、物珍しいのです。


 私たちのこの格好、衣服はいいでしょうが、手に持っているものが、ライフル銃?と電撃スタンガンでは……

 女性が持つものではなく、というよりこの世界のものではないので、問題があるのではありませんかね……


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