惑星エラムへようこそ!
惑星エラムへようこそ!
黒の巫女様におかれましては、さぞご不審でしょうが、ここは惑星エラムと申しまして、元吉川洋人様、今は黒の巫女様の惑星地球とは宇宙が違います。
黒の巫女様は、地球における叡智とも呼べる方なので、この意味は、ご理解いただけるとおもいます。
このことは、夜空を眺めていただくと明瞭に分かります。
あなた様は、この惑星の人類を創造した方の、直系の御子孫であられ、いま衰退しているこの世界を救える、ただ一人の方です。
現状にご立腹でしょうが、姉上様もいたしかたないとご承知になられました。
あなた様はこの世界にたいして、何とかしなければならない、先祖の負債がある状態です。
この厄介な世界を、終わりにするのも可能です、全てはあなた様の判断しだいで決することになっています。
姉上様は、あなた様の状況を憂い、私どもの提案をご了承くださいました。
ご両親様の事故の時、私どもも、全力を尽くしたのですが、この世界と地球はあまりに遠く、物理的な力の行使はできませんでした。
なんとか姉上様の意識に入り込むことができ、あなた様の命を守る方法を、実行していただきましたが、あなた様には、重大な後遺症が残ったことに対しては、ここに謝罪させていただきます。
さて、今回のことにたいしてですが、あなた様の寿命はここまででした。
あの事故の時、あなた様を蘇生するために、無理をして死を引き伸ばした、というのが正解かもしれません。
幸いといえば、あなた様には大変失礼ですが、この世界を 『何とかする存在』になるためには、女性になる必要があったのです。
あなた様の命は地球で終わりました。
いまのあなた様のお体は、あなた様の遺伝子情報を設計図に、物質を再構成して作り出した肉体に、あなた様の魂を入れさせていただいたお体です。
決してあなた様の自我にはふれていません、しかし生理的に、女性ホルモンの影響が出ることは、ご了承ください。
また大変申し訳ないことですが、この世界に、あなた様の遺伝子を入れることは、この世界の自立を妨げることになります。
終わりにするなら別ですが、まだ決められていない状況では、この選択しかありませんでした。
現在のあなた様のお体は、不老状態ですが不死ではありません。
ご自身が望まれれば、死ぬことはできますが、望まなければ死ぬことはありません。
またお姿につきましては、遺伝情報の許せる限り、美しい状態にさせていただいています。
また姉上様のご希望により、十八歳のお年になっております。
我々はあなた様の転移実現のため、もてるものを全て消費しました。
長い眠りにはいることになります。
あなた様の手助けをする者として、我々は一人の女性を用意しました。
多分あなた様は会っているはずです。
この手紙をお読みになっている時点で、まだこの女性と会ってなければ、このフィールドでお待ちください。
この女性は惑星エラムの住人で、あなた様のように死を迎えた時、我々と契約してこの任についたもので、あなた様の奴隷となります。
地球では奴隷制度はありませんが、惑星エラムでは文明が進んでおらず、地球でいうところの、古代ローマ程度の状態です。
奴隷制度も立派に残っています。
どのようにこの女性を扱うかは、あなた様次第です。
この世界では、男女比率が多少歪でいます。
バンアレン帯が弱い関係で、劣勢遺伝子である男性染色体が、機能不全を起こすことがあり、結果的に女性が出生児六割程度を占めると推定できます。
したがって、必然的に一夫多妻制が普通です。
このエラムには魔法が存在しますが、このことについては、後日、説明の者に出会えるでしょうから、お聞きください。
当然ですが、あなた様はこの魔法が使えます。
言語においては、自国語のように使用できます。
さらに転移時に、ありとあらゆる地球の知識を、あなた様に詰め込ませていただきました。
あなた様のキャパシティは大変なもので、お体もそれに順応できるようになっています。
またあなた様の生存のために、ご愛用されておられました、地球でいう通販のカタログシステムも、可能な限りご用意いたしましたが、生ものなど生きているもの、大きい物は不可となります。
このことは用意された女性にも分かるようになっています。
またささやかな住居も、ご用意していますが、できましたらエラムを知る上でも、現地をご散策ください。
エラムのことは、用意された女性にお聞きください。
また、この女性は先ほどのカタログシステム以外、この手紙のこと、詳しい地球のことなども知りませんので、含み置きください。
この手紙は、純粋に日本語で書かれています。
私と黒の巫女様だけが読めます、この世界のだれも読めません。
最後にお願いですが、どうかこの世界を救う方向で、ご判断ください。
あなた様のしもべより
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