家族が増えたプロローグ

わたしがうまれて

 今でも覚えている。最初に発した言葉は「ママ、お腹すいた」

 それを聞いたパパとママの顔が真っ青だったのも覚えてる。


 3歳の誕生日までにわかったこと。

 私はどうやら、普通ではないらしい。いろんなパズルをやって、検査ということでゲームをやり、知的年齢はおおよそ15歳と診断された。

 これから体も脳も成長していき、周りの人と同じような知的年齢になるのかどうかもわからない、と先生は言っていた。


パパは

「本物の天才じゃん!」

ってすごい喜んでいた。

「そんなことより1人で本を読んでるだけなのは……」

 ママはぼそっとそんなことを言っていた。

「それ言ったら、あーたんだって1人で本読んでたじゃん!」


「きっとこの娘も私と同じ苦労をするのね」 

 ママはため息交じりに私にだけ聞こえるように囁いた。


3歳にもなったし自己紹介をしよう。

 名字はあえて伏せるけど。私の名前は恵憂(えう)。4月26日生まれの3歳です。好きなこと……数学? 将来の夢はレオンハルト・オイラーのような数学者になりたいです。 苦い食べ物は嫌い。


 パパの職業は中学校の先生。

 ママは外資系企業のシステムエンジニア。ママは東大出身。そこは自慢してもいいよね?


 私の出生とか語ることはあるけれど。私は訴えたい。


 パパとママがラブラブすぎる。それはもう子供の私が「甘すぎぃ」ってなるくらいラブラブ。


 その理由も何回も聞かされた。ふつーにおとぎ話をするように、寝る前の時間に語ってくる。


 でもパパの

「恵憂、パパにねあーたんがいるように。恵憂にも「もうその人しか考えられない」って人が現れるから。だからゆっくり大人になっていいんだよ」

 っていう言葉を聞いて、「あぁママもパパに惚れるわけだ」ってわかった

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る