最愛の愛の結晶
あーたんと結婚して4年間。
大きな喧嘩をすることなく、穏やかに過ごしていた。
あーたんはめっちゃかわいいから、大学でも男がほいほい寄ってくるらしいけど、そんなあーたんが浮気するなんて考えられなかった。それはお互い思っていたことだ。
8年間も想い続けて、奇跡みたいに結ばれて。僕はあーたんに不満なんて抱かなかったけど、あーたんは僕の周りに女の子がいるのが不満だったみたいだ。
いや、僕も浮気する気持ちなんてなかったけど、あーたんみたいに全員シカトもできなかった。
そんなゆったりとした日に大事件が発生した。というか、まぁ望んだことなのだが。
あーたんが妊娠した。
妊娠検査薬も陽性だったし、婦人科にも行って確認もした。
僕たちが22歳。大学4年生の頃だった。
そろそろ就職活動。なんてときだった。
いや、時期を考えろよと神様も笑っていた。
でも、それでも僕もあーたんも泣いて喜んだ。
あーたんの失うことしかなかった人生。初めて得た者。それは最愛の人の子供だった。
その子を産むのにあたり、あーたんは両親のお金を使いたがらなかった。2人で得た者だから2人のお金で、と言いたいことはわかる。共感もできる。
でも果たして出産費用約40万もぽんと出てくるものでもなくて、アルバイトしてどうにかできるものでもなかった。いくら後で返ってくるとしても、だ。
そんなことを保健師さんと相談しようと、藁にもすがる思いで話してみると、孤児にはそういう手当がつくようだ。てかぶっちゃけ自己負担額0円だ。
お嫁さんは渋った顔をしていたけど、
「僕だけじゃそんなに稼げないし。あーたんを働かせるつもりはないからね」
意地だった。そんな気持ちを汲み取るのもお嫁さん。
そしてつわりとかいろんなことが起きたけどあーたんは無事に女の子を出産した。
子供を見つめ。僕たちは泣いていた。8年間想いを続けることしかできなかった僕たちは最愛の子供の親になれた。
だからここからは子供が、恵憂が話を進めていこう。
あーたん。お疲れ様。
疲れたままの顔で、でも吸い込まれるように僕たちの最後はキスだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます