だんな様のいる日常

 朝日が差して私の意識がぼんやりと覚醒する。

 なんか足元が重いなって思って視線を向けると、だんな様が私の足にしがみつくように寝落ちしていた。

 愛おしい。たまらなく愛おしい。

 何度も求めた人がここにいる。私を愛してくれる。結婚してくれた。

 触れたくて。頭をそっと撫でてみた。それだけで心拍数が上がったのがわかる。

 キスしたい。起こさないようにキスしたい。心臓の音がすごい。

 そんな気持ちで悶々としていると、だんな様がうっすらと目を開いた。

 そんなこんなで急に抱きしめられたり。

 やっぱりキスしたり。

 何度もキスしても、この胸のときめきは色褪せない。そしてどれだけ経っても色褪せることはないのだろう。


「ソファで寝ちゃだめだよ」 

 私が朝食を作っていると、横でサラダを作っていただんな様が切り出した。

「ソファで寝た? ベッドで起きたよ?」

 果物の皮を向きながら言葉を返す。

「そりゃ俺が運んだからな」

 ぴたっと腕が止まった

「重かった?」

 重かったなんて言われたら死んでしまう。

「全然。てかちゃんと食べてる?」

 やっぱりだんな様は優しい。

「どうやって運んだの?」

「もちろん、お姫様抱っこ?」

 

 なんでそんな大切なときに目を覚まさなかった、わたし!


 机に2人分の朝ごはんが並べられて。私はそれだけでも嬉しくて。


 8年間諦めないで良かったと心の奥でそっと思った。

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