夫婦のプロローグ

くすっと笑うかもしれない

結婚する手続きはすべてすました。(ここを書くと長くなるから省略)

 でも初めて婚姻届なんて見たよ。

 なんか人生の階段を1つ登った気さえする。

 家は僕ボロアパート。あーたん高級マンション

 「もう夜だね。そろそろ帰らないとね?」

 僕から話を切り出した。だってあーたんは僕がプロポーズしたあとずっと泣きじゃくっているから。

 「……家に……帰りたい?……」

 顔を真っ赤にしてか細い声を出した。

 そうか、家かぁ。お互い18歳だし同棲とかもありなんだなぁ。っていうか同棲したいな。でも切り出しづらいぞ……。


 そのころ新妻である私も考えていた。同棲したい、と! 私達には両親がいない。そうなれば私のことを大好きな彼が言い出すはずだ! 


「あーたんの家はここだもんね」

 自分で言うことじゃないが、高級マンションだ。

 キタ!! 彼がこの流れで同棲を提案してくれるはず!

「そうね。あなたの家はどこらへんなの?」

さあ早く、ここまできたら同棲と提案してくれるはず!

「ここから15分歩いたくらいかなぁ。意外と近くて嬉しいよ」

「えぇ……。そうね」

この流れはまずい。非常にまずい。このままでは何事もなく終わってしまう。

仕方ない。女の子の奥義!

「私を独りぼっちにするの?」

 涙目で上目使い!

「えっとね。僕は男の子で、あーたんは女の子なんだよ?

だから……ねっ。」

なぜかすでに涙目になってる彼。

「今、えっちなこと考えたでしょ」

顔が真っ赤だから丸わかりだ。あぁやっぱり男の子なんだなって感じちゃう。でもそんなところも好き。恥ずかしいことに、結局彼のことが今でも大好きなのだ。


 そうこうしてる間にマンションのエントランスまで到着した。


 そこで彼は決意した。あーたんをもう独りぼっちになんてさせないと。


「あーたん。突然で、僕のわがままだけど一緒に生活できないかな?」


「ずっとその言葉を待っていたわよ。おバカさん」

胸に飛び込んできた、あーたんの笑顔はどんな星よりも輝いていた。


そしてお互いを求めるように深いキスを交わした。

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