守備隊
「よし、そろそろ行くぞユースケ」
おれとユースケは南門へ向けて進みだした。
だが、ここまでゴブリンが侵入しているという事は、本当に南門は落ちてしまったのだろう。
南門に到着すると、門は開け放たれ、そこから侵入してきたゴブリンの一団と相対する人間の集団があった。
おそらく門の守備隊だろう。
だが、その守備隊の方は押されていた。
大通りの一角に、防壁を築き応対しているが、通りまで押し込まれた時点でこちらの負けだ。
おそらくゴブリンは、一部が裏通りなどを使って街中へ侵入しているのだろう。
その証拠に、守備隊は回り込まれて後ろから襲撃を受けている。
分かってはいても、人数が少なすぎて手が足りないのだろう。
その後ろのゴブリンの集団に、おれたちは突撃した。
「行くぞユースケ!」
「おう!
ユースケの魔法が、守備隊に襲い掛かっていたゴブリンの集団のど真ん中に着弾する。
魔法が直撃したゴブリン三体がぐちゃぐちゃになる。
おれはその隙に駆け寄り、魔法の被害を逃れたゴブリンを斬っていく。
「助太刀だ!」
「すまん! 助かった!」
全てのゴブリンを斬り殺したおれたちは、守備隊と合流を果たした。
「状況はどうなっている?」
「おれたちが外壁上で警備をしてると、いきなり黒ずくめのゴブリンが現れたんだ。そいつに何人もやられて、混乱してる所にゴブリンの軍勢が来やがった」
それはゴブリンアサシンの事だろうな。
奴ならそれくらいの事はやれるだろう。
「ゴブリン共は魔術で門を攻撃して、脆くなった所に肌が黒い大柄なゴブリンが突撃をかましてきたんだ」
黒い肌のゴブリン? 黒ずくめではなく?
それが本当なら、そいつは噂に聞くゴブリンキングじゃないだろうか。
まさか群れの主が自ら最前線に出てくるとは……
「それで門は破られて、ゴブリン共がわんさか入ってきて……。最初はなんとか門前で防壁を使って押しとどめていたんだが、ゴブリンは増える一方で押されて行って、ここまで後退してしまったって訳だ。裏路地から回り込まれるのは分かってはいたが、手が足りなくてな。ほんと助かったぜ」
「それはいいが、どうするんだ? このままだとジリ貧だぞ。押し返すなりなんなりしないと」
「押し返すっていったって……」
「おそらく群れの頭を潰せば引いていくはずだ。おれたちが行くから援護してくれ。行くぞ、ユースケ!」
「おう!」
「ちょ、たった二人で、おい……えぇい、くそっ! お前ら! あの二人を援護するぞ!」
おれとユースケはゴブリンの集団に突撃していった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます