道
守備隊の制止を振り切り、おれとユースケはゴブリンの集団に向けて駆けだした。
日中相対した時程ではないが、かなり数がいるな。
時間が経てば経つ程、この数は増えるだろう。
今も外からゴブリンが、門を通り抜けて街へ入ってきているはずだ。
だが、こいつらを一匹一匹相手している時間はない。
「ユースケ! サンドリザードを倒した時の、風魔術を頼む!」
「了解! おれの見せ場だな! くらえ!
鋭い切れ味を伴った旋風が、ゴブリンの集団に襲い掛かる。
サンドリザードと違って比較的軽めなゴブリン達は、襲い来る風に耐え切れず宙を舞う。
これで道が開けた。
遠目に大柄な黒黒としたゴブリンが見える。
あいつを倒しさえすれば……
だが、そう簡単にはいかないらしい。
走り抜けるおれたちに、幾重もの魔術が飛んできた。
「っ!?
複数のゴブリンマジシャンから放たれた魔術を、おれは光属性中級魔術の
幸い、ゴブリンマジシャンが使った魔術は初級魔術ばかりだったので、なんとか持ちこたえられた。
「
すかさずユースケが魔術を使う。
その魔術はゴブリンマジシャン一匹を貫いた。
これでゴブリンマジシャンはあと二匹か。
おれは、剣に魔力を纏わせそれを飛ばす。
「
魔力の刃はゴブリンマジシャンを二つに切り裂いた。
これであと一匹!
その残り一匹のゴブリンマジシャンが、魔術を放つ。
「
ユースケが
辺りに水蒸気が蔓延して、視界が閉ざされた中、おれは記憶にあるゴブリンマジシャンの位置へ駆け寄った。
「ギギ!」
「死ねっ!」
そして、接近してそいつが見えた時、おれは剣を縦に振るい頭を勝ち割った。
「ふぅ……」
特に苦戦する事なく倒せたが、時間を取られてしまった。
先程、両側からゴブリンの集団が迫るのが見えた。
このままでは囲まれてしまうだろう。
ここは引くべきか?
いや、引いても意味がない。
ならここは、雑魚を足止めしてその間に敵の大将を討つ。
都合よく水蒸気が満ち溢れてるしな。
『
魔法により大気中の水分を操作し、ゴブリンキングへの道を残し、地面を凍り付かせる。
おれらに突撃しようとしていたゴブリン共は、滑って地面を転げまわっている。
どうやら成功のようだ。
「ユースケ! 今のうちだ!」
おれは前に立ち塞がるゴブリンを斬り捨てながら進む。
おれの剣の範囲外にいるゴブリンには、魔術が飛んでくる。
ユースケも後ろから付いてきているようだ。
そうしておれらはついにたどり着いた。
同族がやられようと動じる様子を見せないそいつ、ゴブリンキングの元まで。
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