ステータスオープン
「そんなの無理だよぉ! いきなり勇者だなんて言われても! おうちに帰りたいよぉ!」
フウカが泣きながら叫んだ。
確かにただの女子高生に、いきなり勇者として戦えと言っても受け入れる事は難しいだろう。
「フウカ……。王様、僕たちはただの高校生です。申し訳ありませんが、勇者としての使命は果たせそうにありません」
マサヨシが王様に断りを入れる。
マサヨシ本人は、困っている人がいたら助けたい、お人好しな性格だから本当はこの国の力になりたかったのだろう。
握りしめた拳に力が入っている。
だが、マサヨシはフウカの事を考えて、元の世界へ戻る道を選んだのだ。
「王様、僕たちを元の世界へ帰してはくれませんか……?」
「すまんが、それは出来ん……」
だが、その願いは無常にも打ち砕かれた。
「本には異世界から召喚する方法しか書いてなかったのだ……。送還する方法は、分からない」
「そんな……」
「勝手に召喚しておいて……」
「無責任な……」
フウカが絶望し、アヤとスイレンは怒りに震える。
そんな三人を、マサヨシは心配そうに見つめる。
「本当にすまん。だが国家の危機だったのだ。送還する方法は、宮廷魔術師たちに調べさせる。だから、どうかそれまでの間、我が国に力を貸してくれないだろうか?」
「でも、僕たちはただの高校生で……」
「本には召喚された者は凄まじい力を得ると書いてあった。そして、その力を確認する方法も……。"すてーたすおーぷん"と唱えてくれんか?」
「え? ステータス?? 分かりました……。ステータスオープン!! うわっ!?」
「どうしたんだマサヨシ!?」
「スイレン、すごいよ!! ゲームみたいだ! スイレン達もステータスオープンと言ってみれば分かるよ!」
「そうか……? ステータスオープン! っ!! なんだこれは!?」
マサヨシの言葉に、スイレン達も次々とステータスオープンと唱えていく。
「ステータスオープン。なにこれっ!?」
「ステータスオープン。これは……」
ユウスケも小声で唱えてみた。
「ステータスオープン」
ステータスオープンと唱えると、急に目の前に半透明の板のようなものが表れ、そこには様々な情報が書かれていた。
名前、年齢、身長、体重と健康診断のようなものから、レベル、体力、魔力、腕力、俊敏、器用、知力、スキルとまるでゲームのようなものまで。
だが、ユウスケの目を引き付けたのは、そのどの項目でもなかった。
ユウスケの視点を離さなかったのは、称号という項目。
そこにはこう書かれていた。
"召喚に巻き込まれた一般人"と……。
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