オーク
東の街道を歩いていると、様々な人とすれ違った。
旅人や、農村から出てきたであろう若者。
日をまたぐ依頼を片づけてきたのだろう、疲れていてもどこか満足そうな冒険者。
馬車を引く商人と護衛の冒険者たち。
特に商人たちが多かった。
ラースを出ていく商人もだ。
それはこの東の街道が王都と繋がっているからだろう。
おれもいつか王都に行ってみたいものだ。
だが王都はこの国の中心。
冒険者としての依頼はラース以下のものしかないだろう。
おれが冒険者としてのランクを上げた時、目指すべき場所は王都から南の辺境都市ドリトンか、北の迷宮都市コサイムだろう。
南の辺境都市ドリトンは、辺境と名が付く通り、未開の地に面していて、魔物の脅威に晒されていると聞く。
珍しい魔物を討伐出来れば、素材は高く売れる事だろう。
北の迷宮都市コサイムには、迷宮という魔物の巣のようなものがあるらしい。
そこでは倒しても倒しても、次の日には魔物が湧くが、決して迷宮からは出てこないという。
そこでひたすら魔物を倒して金を稼ぐのもいいだろう。
それか王都から更に東の都市アディオンに行くのもいいかもしれない。
アディオンは隣国と国境が接していて、毎年小競り合いがおこっているらしい。
そこで武勇を示せば知名度が上がり、褒美も貰えるかもしれない。
どこに行くか迷うところだ。
おっと、夢の中のドラゴンの巣穴。
今は地道にランクを上げるとこからだな。
オーク討伐に集中しよう。
「そろそろか」
街道を逸れ、山に近づくと豚の顔をした大男を見つけた。
「あれがオークだな」
オークもこちらを見つけたらしく、ブヒブヒ言いながら襲い掛かってきた。
手に
さぁ、斬り合うとしますか。
十分接近したオークは、大ぶりで鉈を振り下ろしてくる。
それをバックステップで避けたおれは、オークの武器を持つ右手を斬りつける。
「ブヒィィ!!」
痛みで武器を落としたオークの隙を突き、胸を斬りつける。
が、厚い脂肪で守られた体には浅かったようだ。
怒り狂ったオークはなりふり構わずこちらに向けて突進してくる。
「その勢い利用させて貰う!」
真正面からオークと対峙したおれは、剣をオークの右目に突き刺した。
突進してきたオークには剣が深く刺さり、おそらく即死だと思われるが、その勢いまでは止まらない。
「っとっと」
おれは慌てて後ろに飛びのいた。
さっきまでおれがいた場所にオークがズシンと倒れこむ。
「危うく押しつぶされるとこだった……」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます