盲目
オークを無事討伐する事が出来たおれは、解体に取り掛かる事にした。
「そのまえに」
剣でただの円形の簡略魔法陣を描き、古代語を唱える。
『
ただの円だった魔法陣に複雑な光の文様が描きだされ、輝きを放つとそこには以前召喚した悪魔たちがいた。
「ルシウス、アンモイ、こいつはオークという魔物だ。こいつをそれぞれ探し出してここに連れてこい! サモニアはおれが解体をしてる間の周囲の警戒だ。それが終わったらこの死体はくれてやる。分かったか?」
「ニャー!」「ワン!」「カー!」
「よし、行け!」
さて、悪魔たちに命令した事だし、おれは解体に取り掛かるとするか。
まずは討伐証明部位の鼻を切り取って、あとは魔石と肉か。
肉は確か腹の部分が高く買い取られるんだったな。
解体用ナイフでは脂肪が厚く切り取れないので剣で大雑把に切っていく。
もちろん魔石の回収も忘れない。
「うお、結構あるな。こりゃ一匹分で袋がいっぱいになるな」
「カーカー!」
オークの肉を袋に詰め終わるころ、サモニアが鳴きだした。
周囲を伺うとルシウスとアンモイが、それぞれ一匹ずつ引き連れてこちらに駆け寄ってきていた。
「二匹同時か。少し面倒だな。かといって焼き払う訳にもいかないし……よし」
『
くっ、この抵抗される感じ、魔除けの魔法に似ているが、おそらく魔力というもののせいだろう。
ガントルに魔法をかけた時抵抗が少なかったのは、おそらくガントルの魔力が低かったからだろう。
それに比べてオークは、いくら二匹同時だとしても抵抗が強い。
腐っても"魔"物ということか。
できればゴブリンの時のように外部からの魔法攻撃で倒したかったが、素材である肉をダメにしたくなかったからな。
抵抗を無理やり跳ね除けるように、体力を消費しながら強引に魔法を発動させる。
すると魔法が効いたのだろう。
走り寄ってきたオークの勢いが止まり、戸惑うように手をバタバタさせている。
これぞ暗闇の魔法。
相手の視界を真っ暗にする魔法だ。
「いまのうちに……」
すぐさまオークの首を剣で突き刺していく。
オークは豚の魔物だ。
豚は鼻が利くらしいからな。
視力がなくても油断は出来ない。
混乱しているうちに始末するに限る。
「さて、これで三体。ランクアップするには十分だろう。あとは解体して……って、あぁー!?」
解体で思い出した。
もう素材袋はパンパンで、オークの肉は入らないんだった。
「なんてこった……」
これならわざわざ疲れる魔法を使わずに、炎の魔法で焼き払えばよかった……。
馬鹿だな、おれ。
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