依頼達成
焼けたゴブリンから素材を剥ぎ取り、アンモイとルシウスにそれぞれ血肉を与え、送還しておれは帰路についた。
門では依頼証と冒険者証を見せることにより、入場税を取られる事なく入る事が出来た。
冒険者ギルドに着いたのは夕方であり、酒場では冒険者たちが騒いでいたが、おれが入ってきた事により瞬時に静まり返る。
「おい、どうした? なんで急に静かになったんだ? あのガキがなんかあんのか?」
一人盗賊のような風貌の男が喋っている。
おそらく昨日はいなかった奴なんだろう。
周りを見まわし、視線の先にいるおれに気づいたようだ。こちらをしげしげと眺めている。
「おい、ガキ! てめぇが誰か知らねぇが、てめぇのせいで酒が不味くなっただろうが! どうしてくれんだよ!」
「おい、やめろ!」
「あいつに関わっちゃいけねぇ!」
周囲の静止も聞かず、おれに絡んでくる。
が、おれはそいつを無視して受付カウンターにいく。
受付は三か所あるが、エリスのとこに並ぼう。
他の受付がどうかは知らないが、親切丁寧なエリスのとこが良さげだ。
「依頼を達成してきた」
「おい、無視すんじゃねぇ!」
おれの番になった所で、カウンターにゴブリンの魔石と角を十個とゴブリンマジシャンの持っていた杖を出す。
「お疲れ様です。十匹分ですか……。森からだいぶゴブリンが溢れているようですね」
「いや、森の外にいたのは一匹だけだ」
「では、森に入ったのですか?」
「ん……まぁそんな所だ」
「おいこらガキ! 無視すんなっつってんだろうが!」
「やめろって!」
本当は釣り出してきたんだが、悪魔の事を説明するのも面倒だし、森を探索した事にしよう。
「あまり無理をしないでくださいね。それにこの杖は……」
「あぁ、ゴブリンマジシャンの杖だ。買い取ってくれるか?」
「……」
「おい、どうした?」
魔物が使っていた道具も買取は出来るはずだ。
どういう理屈か分からないが、魔物が使用していた道具は魔力が込められていると本に書いてあった。
そこそこいい金になるんじゃないかと思って持ってきたんだが……。
「あ、すいません。
なに?これが魔道具なのか?
つまり、魔道具は魔物が使用した道具ということか?
確かライトの魔道具なんかはダンジョンから発掘されていると聞いたことがあるが、魔道具にも二種類あるということか?
「あの、ゴブリンマジシャンについて詳しく伺えませんか?」
おっと今度はおれが少し考えこんでいたようだ。
ゴブリンマジシャンについてねぇ。
大して情報はないんだが。
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