第65話 公佳のラブラブ大作戦
「じゃあ、私も出かけるね。」
史華を見送ってから自室に戻り身支度を整えた。
学校や練習帰りじゃない普通のデート。
今日はキャメルカラーのジャンパースカートと黒のブラウスです。
やっぱり女の子なのでファッションには気をつけています。
秋らしくシックにまとめてみたんだけど、カズくんの反応はどうかな?
今日は映画を見に行く予定なので駅前で待ち合わせしています。
基本的にカズくんはのんびり屋さんなので約束の時間に遅れることもしばしば。
とは言っても10分くらいのことなので許容範囲だから許しちゃうんだけどね。
駅前で待つのはいつものことなんだけど、
「おねえさん、待ち合わせ?よかったら一緒にパンケーキでも食べに行かない?」
いつものことながらナンパされてしまうのが困ります。
「彼と待ち合わせしてるから行けません。」
ナンパにはハッキリ、簡潔にお断りするのがポイントです。
これで3割くらいは撃退できます。
「でも、結構待ってるのにこないよね?きっと予定ができてこれなくなったんだよ。だからこっちはこっちで楽しもうよ。」
こうやって粘る人には、
「悪いキミ遅刻した。行こうか。」
カズくんが対応します。
まあ、遅刻したカズくんにも原因があるので
あとはお任せです。
185センチのカズくんが一緒にいてくれれば大抵諦めてくれます。
「もう!カズくんのせいでまたナンパされちゃったじゃない。罰として辱めを受けてもらうから手出して。」
これもいつものこと。
諦めたカズくんの手を握り映画館へ向かう。
「これって罰なんですかね〜。」
少し意地悪くカズくんに問い掛ける。
首だけ振り返ると頬をポリポリ掻いて誤魔化している。
「むぅ!」
何も答えないカズくんにわかりやすく不満を表す。
「カズくんは纐纈先生に女心を教えてもらった方がいいと思うよ!私に対する扱いの改善を要求します。」
「ソウにか?」
意外そうに呟くカズくん。
同じ学校なんだから2人をよく見てると思ったけどあまり一緒にいないなかな?
「ちょっと電話してみるか。」
おもむろにスマホを出すカズくんは本当に総くん連絡するつもりなの?
「ちょ、ちょっと待ってカズくん。総くん達はデート中だから邪魔しちゃだめだよ。」
今朝の様子を見ているので2人の空間を邪魔することはできない。
「相変わらず仲良いよな。学校でも有名になりつつあるぞ。しかも2人して人気急上昇だ。付き合い出してからカッコ良くなったとか綺麗になったとか言われてるし。」
うんうん。
付き合うようになってから2人とも変わったよね。お互いに高めあってるって言えばいいのかな?
「今朝、史華の荷物が多かったから総くんが迎えにきたんだけどね。何気なく荷物受け取ってお母さんもいるのに躊躇なく手繋いで出かけてったよ。さすがにお母さんもびっくりしてたけどね。」
「へぇ〜、あいつには羞恥心ってものがなかったのか。」
今朝の話を聞いたカズくんは見当違いのことを思ったらしいや。
「まあ、史華は真っ赤だったけどね。あれを自然にできるのは素敵なことだと思うよ。」
あれだけ大事にされてるのに不安がる史華もおかしいけど。
♢♢♢♢♢
「さて、公佳見たい映画あるか?」
「そうだね。この『醒めない
カズくんはわかりやすく顔を引きつらせるけど今日の私は躊躇しないから。
「はぁ〜、まあそれでいいぞ。」
ちょっといじめすぎちゃったかな?落ち込んだ様子でチケット売り場に並ぶカズくんの後ろ姿を見て、少し反省した。
映画ははっきり言って当たりだった。アニメを侮るなかれ感動しちゃった。隣のカズくんも満足気な表情をしていた。
夕食は行きつけのラーメン屋という色気とは全く関係のないお店だった。
いつも通り肩肘張らないデート?
まだ付き合って1年も経ってないのにトキメキというものが感じられないのが少し寂しい。
距離が近すぎるのも考えものだね。
いつも通り帰りは家まで送ってくれてバイバイ。
の、はずだったんだけど、
「公佳。」
門扉を開けようとしたところで声をかけられたので振り返ると、カズくんが抱きしめてくれました。
「えっ?」
突然のことに固まっているとそのままキスをしてくれました。
「おっ!」
その瞬間にカズくんの後方から声がしたので、慌てて離れると仲良く手を繋いでいる史華と総くんがいました。
史華は微笑み声には出さずに『良かったね』と口の動きだけで私に伝え、総くんはカズくんに『やるな〜。』とからかっていました。
2人の別れ際?
バイバイだけして家に入るつもりだった史華を総くんが抱きしめて濃厚なキスをしていたよ。
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