第20話 最強のツインズ

公佳ちゃんコレクションを一通り見せてもらった後、JK4人ですることと言えば"ガールズトーク"である。


「ねえ、公佳ちゃん。なんで纐纈くんより葛城くんを選んだの?」

切り込み隊長みやびちゃんが公佳ちゃんに質問した。

「って香澄ちゃんが。」


「・・・みやびちゃん⁈」

言ったよ?確かに言ったよ?でも本人の前で聞くなんてデリカシーが、


「で、公佳ちゃん何で?」

うん。やっぱり私も気になる。


「ええ〜、コウくんよりもカズくんをって言われちゃうと、私2人を手玉に取ったみたいじゃない?」

公佳ちゃんに苦笑いしながら私達に問いかけた。


「公佳も随分悩んだみたいだからあまり追及しないであげて。公佳は葛城くんが好きだったでいいでしょ?」

史華ちゃんが公佳ちゃんを庇うように言った。


「香澄ちゃんとコウくんが幼馴染のように、私達とカズくんも小さい頃からの仲なの。

私達は双子ってこともあって昔から小さくってよく馬鹿にされててね。そんなときいつも助けてくれたのがカズくんだったの。」


幼馴染最強説!やっぱり幼馴染は強い!

・・・んだよ?ねえ、そうちゃん?


「だからカズくんに惹かれてていったのは自然とかな?コウくんから告白されたときはカズくんに対する気持ちがよくわかってなかったの。でも、カズくんに告白されて恋心だって気付かされちゃった。」

そう言う公佳ちゃんの表情は私が見ても惚れてしまいそうなほど可愛らしかった。


で、一つ疑問に思ったことが、

「私達ってことはひょっとして史華ちゃんも葛城くんのこと・・・。」

「ないよ。」

はや!そして顔が怖いよ史華ちゃん。


「幼馴染だからってみんなが好きになるわけじゃないでしょ?私のタイプじゃありません。」

若干、史華ちゃんの顔が赤く見えるのは気のせいだろうか。


「それ、どこかで聞いたことある台詞だね香澄ちゃん。」

「言わないでみやびちゃん!」

幼馴染最強なんだよ!

ほら!すぐそこにモデルケースがあるじゃない!


「ね、公佳ちゃん。幼馴染は特別枠だよね?」

私はすがる思いで公佳ちゃんに話を振る。


「あはははは。」

苦笑い?なんで?


「香澄ちゃん、コウくんとは物心つく前から一緒にいるんだよね?そうするとねぇ?」

公佳ちゃんはチラッとみやびちゃんを見た。


だよね。」

親友による介錯が行われました。


「まあ、実際、纐纈くんは香澄ちゃんのことをすごく気にかけてるよ。でも、たぶんそれは恋愛感情じゃないような気がするんだよね。」


「みやびちゃん。」


「まあ、ずっとこのままかどうかなんてわからないでしょ?そんなことで諦める香澄ちゃんじゃないし。いいじゃない。纐纈くんが彼女の1人や2人作っても。経験値を稼いでおいてもらおうよ。」


「雅。言い方が。」

史華ちゃんが呆れ顔でみやびちゃんに突っ込む。


「香澄ちゃんの目標は纐纈くんの奥さんになって子供産むことでしょ?じゃあ、その夢に向かって進むのみだよ!」

励ましてくれてるのはわかるんだけどね。みんな若干引いてるからね?


「あははは。ポジティブな考え方だよね。でも今を楽しみたい気持ちもあるしね。コウくん、学校でモテてるんじゃない?」

公佳ちゃんが史華ちゃんをチラリと見やる。


「香澄ちゃんを敵に回すような強者はまだ出てきてないかな?何気に香澄ちゃんが牽制してるし。クラスが違うからはっきりとはわからないけどね。」

みやびちゃん、私がそうちゃんの恋路を邪魔してるみたいじゃない。

私が不満げに頬を膨らませてると、公佳ちゃんが頬を突いてきた。


「かわいい。でもそれも必要かもね。大事なものは盗られないようにしないとね。ね、史華。」

「なんで私に振るの?」

史華ちゃんは公佳ちゃんの意図がわからないというふうに見返した。


「ねぇ、香澄ちゃん。史華ならいいライバルになると思わない?ちなみにバイト帰りはいつも送ってもらってるみたいだよ。」

私とみやびちゃんが一斉に史華ちゃんを見る。


「え?暗くなったときだけだよ。オーナーが気を使ってくれてるだけだからね。公佳、面白がって香澄ちゃん動揺させないでよ。」

公佳ちゃんは楽しそうに笑っている。


そこでふと疑問が浮かんだ。


「ねえ、公佳ちゃん。そうちゃんのこと異性として好き?」

これまでの話を聞いて少し引っかかった。


"大事なものは盗られないように"


誰に?私にそうちゃんを。

盗られないように、史華ちゃんを代役に?


「うん?ストレートだね。私、カズくんって彼氏いるよ?でも、そうだね。コウくんのことだよ。だからってどうしたいって訳じゃないよ。あのね。コウくんって試合に勝った後、すごくかわいい笑顔するの。でも普段は見せてくれないんだよね。だからね。その笑顔を独り占めしたいって思うよ。」

やっぱり違和感あったもん。

でも、そうちゃんが自分から好きになった相手じゃないと引き出せないんだろうね。

だから私じゃダメってこと?


「香澄ちゃん、コウくんのその笑顔見たいと思わない?」


「・・・見たい。」


公佳ちゃんはニッコリ笑ってくれた。

「じゃあ、頑張らなきゃ。強力なライバルはすぐ側にいるからね。」


そして、私は史華ちゃんにも同じ質問をした。


「ねえ、史華ちゃん。そうちゃんのこと異性として好き?」


史華ちゃんは一瞬驚いた表情を見せたが、私を見て、


「私はコウくんのこと・・・」

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