第15話 対決?A組vs B組
「香澄ちゃん、次の体育は男子はサッカーらしいよ。こっそり纐纈くん見るチャンスだね。」
みやびちゃん、ナイスな情報ありがとう。
これは体調不良で見学しますって先生に言いに行かなきゃ!
「みやびちゃん、私急に体調悪くなったから体育は見学するよ。ちょっと先生に言ってくるね。」
教室を出ようとすると肩を掴まれた。
「サボりはだめだよね?」
みやびちゃん。ちょっと怖いよ?
中学の部活を辞めてから、そうちゃんがサッカーをしている姿を見ていない。
1年生の時からレギュラーに選ばれてたから試合は毎週見ていた。
今もクラブチームで続けてるみたいだけど、私には来て欲しくないみたい。
「みやびちゃん!このチャンスを逃せばきっと後悔する。だから、だから〜。」
ポンッと反対の肩を叩かれた。
「さ、香澄ちゃん。着替えに行こうか。」
史華ちゃんの笑顔がかわいい。
「え!史華ちゃんまで?見逃してよ〜。」
「まあ、頑張ったらご褒美あげるからね。」
史華ちゃんからのご褒美?
なんだろ?すごい気になる。
ご褒美の言葉で考え込んでいると。
「聖川さん、次の体育男子はB組とクラス対抗戦やるらしいんだ。うちにはサッカー部が5人、レギュラーも3人いるから余裕で勝ってくるよ。個人的には3点ノルマかな?」
みやびちゃんオススメの白石くんだ。
「あはは、そうなんだ頑張ってね。」
そうちゃん相手に点取れるわけないのに。彼は少しイタイ感じのイケメンくんらしい。
♢♢♢♢♢
体育の時間は2クラス合同の男女別で行われる。
今日は2クラス対抗でサッカーの試合をやるらしい。
正直なところ体育のサッカーは好きじゃない。本気でやるわけにもいかないし。
「なあカズマ。体育見学したいんだか。」
「はあ?サッカーだぞ?ソウのカッコいいところ見せるチャンスじゃんか。」
「誰に見せるんだよ。別に見せたいやつなんかいねーよ。」
ため息混じりで答ると、「うん?」と考えてから、
「聖川さんじゃないんだよな?じゃあフミでどうだ?」
カズマは得意げな表情だ。
「吉乃さん?まあ俺たちの共通人物が少ないから仕方ないか。」
「キミから聞いたけど、フミとバイト一緒なんだろ?仲良くなるチャンスじゃん。」
あれ?カズマってこういうキャラだったか?まあ今まではサッカー中心の話題しかしてなかったからな。新たな一面ってやつだな。
「まあ、それはどうでもいいから諦めて着替えようぜ。」
♢♢♢♢♢
整列〜
体育教師の号令でクラスごとに並んだ。
今までも一緒に体育をやっているけど、A組のやつらの名前はほとんど知らない。
「ねぇ、あんた纐纈だよな?」
不意に目の前の茶髪に話しかけられた。
「ああ。」
「ふうん。普通だな。聖川さんの隣が似合うようなやつには思えないな。」
やっぱり出てきたか。
おめでとう。君が高校での第1号だ。
聖川に気があるやつにとって、俺は目の上のタンコブらしいからな。こういやつの対処法は無視に限る。
んだけど、隣のカズマが、
「おい、お前何喧嘩売ってきてんだ?聖川さんに相手にされないからってソウに絡んでくんなよ。」
185センチのカズマに睨まれると大抵のヤツがビビる。
「別に喧嘩は売ってないだろ。まあ、せっかくの機会だから試合で相手してやるよ。」
茶髪くんが得意げに言ってくるから、思わずカズマと顔を見合わせて笑った。
「ま、まあそうか。うん、頑張って。」
カズマが苦笑しながら話しをやめた。
「ソウ、ああいうのは調子に乗せない方がいいぞ。」
「だよな。カズマ使える駒は?藤田が俺と同中でサッカー部だった。パワータイプだ。」
とりあえず戦力分析をしていく。
「玉乃も俺と同中でサッカー部。たしか今もだから茶髪くん達と似たようなレベルかも。足はそこそこ速かった。」
まあ、2枚使えれば何とかなるだろう。
俺たちはいつものように拳をぶつけ合ってからポジションについた。
「真ん中からいけばいいだろ。俺にボール集めてくれ。」
茶髪くんがチームに指示を出す。
「白石!」
ボールが茶髪くんに渡り、俺に向かって仕掛けてきた。
敵に向かってくるってこいつよっぽどの自信家かホントのバカかどちらかだろう。
シザースで揺さぶりながらスピードを上げてきたが、この程度で振り切られるほど甘くない。
俺は左肩から茶髪くんとボールの間に身体を入れてボールを奪うと、後方のカズマにボールを預ける。
停止した茶髪くんを無視して、俺はターンで置き去りにしてサイドから前線に駆け上がった。右サイドにいた玉乃が俺の動きを見て中央にポジションを移動。
カズマからのフィードを胸でトラップし、そのままサイドをゆっくりと上がっていく。
その間に相手は中を固めた。
よし予定通り。
相手がガチガチに固めたところにアーリークロスを入れる。
ボールは最後尾から上がってきていたカズマの頭にドンピシャに当たり、教科書通りに地面に叩きつけて先制点を上げた。
「カズマ、大人気ないな。」
ニヤっと俺が笑うと。
「同級生だからな。」
とカズマも笑った。
完全に舐めていた茶髪くん達は固まっていた。
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