第10話 似てる?
「そうだったんだ。香澄ちゃんの意中の君がコウくんだったんだね。・・・ん?てことは半年前くらいに公佳にこくは・・く・・。」
そうちゃんがフラれた?
誰に?
きみか?史華ちゃんの妹?
あすか?史華ちゃんの友達?
「ねぇ、そうちゃん。なんで史華ちゃんの妹さんを知っ・・・チームメイトって言ってた⁈さっきそうちゃん言ったよね?」
私はそうちゃんにキスするかの如く接近した。
「近いよ。そうだよ。吉乃さんの双子の妹と同じチームに所属してるんだよ。ということで吉乃さん、こいつには練習場所はチーム名は内緒にしておいてね。来られると落ちついて練習できなくなるから。」
史華ちゃんを見ると少し困ったような表情をしている。
「2人は幼馴染なんだよね?でも教えちゃダメなの?」
そうだよね。幼馴染なんだから教えてくれてもいいと思うよね。
「幼馴染だから?かな。今のチーム気に入ってるしね。」
そうちゃんがみやびちゃんをチラっと見た。
みやびちゃんも視線に気づいたらしく、
「史華。纐纈くんのことになると香澄ちゃんはポンコツになるからね。本人の知らないところで迷惑かけちゃうんだよ。」
みやびちゃんがため息混じりで史華ちゃんに説明した。
本人の知らないところでね。
その件についてはそうちゃんも私は悪くないと言ってくれている。
多少は自重しないといけないのはわかってるよ。そうちゃんごめんね。
と、いまはそれよりも、
「とりあえずその話は置いておいて、そうちゃん振られたの?てことは史華ちゃんの妹さんのことが好きだったんだよね?史華ちゃんの双子ってことは史華ちゃんにそっくりなんだよね?そっくりってことはもう史華ちゃんのこと好きになったの?」
私はそうちゃんの胸倉を掴みながら問い詰めた。
慌てふためく史華ちゃん。
ちょっと顔が赤いよ?
「まて聖川。吉乃さんとは初対面だぞ。」
そうちゃんが優しく笑ってくれた。
「でも似てるんでしょ?好きになる確率高くない?史華ちゃん、妹さんとはかなり似てるの?」
自分でもかなり焦ってるのがわかる。
冷静になればこんな聞き方、史華ちゃんに悪いってわかるのに今の私には余裕がない。
ほら、史華ちゃんも苦笑するしかない。
「どうかな?自分達は似てないって思ってるけどね。」
「双子だから好きになるってのも失礼な話だと思うぞ。第一フラれたことに関してはもう踏ん切りはついてる。今は普通に友達かつ親友の彼女って思ってるから。」
そうちゃんも苦笑い。
でも、それを聞いていた史華ちゃんの様子がおかしい。
怒ってる?
「纐纈くん。葛城さんと仲が良いんですか?友達は選んだ方がいいと思いますよ。」
え?敬語?葛城さん?
そうちゃんもみやびちゃんもビックリして史華ちゃんを見ている。
「カズマのこと嫌い?俺は悪いやつだとは思ってないよ。選んで友達付き合いしてる。信頼できるやつだよ。だから吉乃も俺なんかよりカズマを選んだんだと思うよ。」
人間不信だったそうちゃんに親友だと言われる葛城くん。はっきり言って羨ましい!
「あなたにとってはそうかもしれませんが、私には違います。」
史華ちゃんは唇を噛み締めながら教室を出て行ってしまった。
♢♢♢♢♢
吉乃さんが出て行った後、俺も帰ろうとしたところで聖川に制服の裾を掴まれた。
「なんだ?」
聖川は下を向いたまま黙り込んでいる。
平川を見ると肩を竦めて困ったアピールをしてくる。
ホント困ったよな。
聖川の態度もそうだけど、周りの生徒の視線が痛い。
はあ、結局こうなるのか。
教室内から知らないイケメンが睨んできている。
あいつ聖川に気があるのか?
おれは関係ないから勝手にやってくれよ。
ため息をつきたい気分だったけど、聖川にバレると変に気を使わせてしまう。
もう一度平川を見てアイコンタクトをする。
"場の雰囲気が悪い。こいつは任せた。"
"仕方ないよね。任されたよ。"
聖川の手から制服を離させて、ポンと頭に手を置いた。
「じゃあな。」
「え?そうちゃん?」
上目遣いで見てくる聖川。
固まる平川。
廊下を歩きしばらくすると平川の声が聞こえてきた。
"中途半端に優しくするな〜!"
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