第9話 友達登録しました
高校に入って新しい友達ができた。
初めて彼女を見た印象は"所作が美しい"ってこと。
ありがたい事に私のところにはクラス内外問わずいろんな人が話しかけにきてくれた。
まあ、中学の時はこれのせいでそうちゃんに迷惑かけてしまったんだけどね。
で、彼女はというと積極的に誰かと関わるという感じではなかったけど、ふんわりとした優しい雰囲気を纏ったかわいい人だ。
彼女には私から積極的に話しかけた。
「はじめまして聖川香澄です。よろしくね。」
彼女の前の席を陣取り挨拶をすると、
「吉乃史華です、よろしくね。聖川さんて近くで見ても綺麗だね。いつも人に囲まれてるからなかなか話しかけられなくて。」
「いやいや。吉乃さんこそ。見た目だけじゃなくて所作も綺麗だからいつも見惚れちゃってるよ。日本舞踊でもやってるの?」
吉乃さんが一度目を丸くして驚いてから小さく笑った。
「ふふ。聖川さんにそう言ってもらえると嬉しいな。中学の頃まで薙刀をやってたくらいかな?高校に入ってからはアルバイトをしたいから辞めたけどね。ね?聖川さんの綺麗の秘訣は恋かな?」
「へっ?」
あ、思いがけないこと言われたから変な声出ちゃった。恋?片思いだよ?
「初めて見た時から綺麗な子だとは思ってたけど、最近また綺麗になったよね。特に表情が明るくなったよね。とうとう恋愛成就したのかな?」
いや、吉乃さん。そんな上目遣いで言われると同性の私でもうっとりしちゃうよ。
あ〜、私とは全然違うタイプだ。
きっとそうちゃんはこういう子がタイプなんだろうな〜。
「ねぇ、吉乃さん。史華ちゃんって呼んでいい?」
「えっ?あ、うん、いいよ。じゃあ私も香澄ちゃんって呼ばせてね。」
「もちろん。ねぇ、史華ちゃん。」
「なに香澄ちゃん。」
「可愛い過ぎるから抱きしめていい?」
「えっ?・・・そ、それはちょっと。」
私はすでに両手を伸ばして史華ちゃんまで数センチまで迫った。
と、同時に脳天に痛みを覚えた。
「痛いよ、みやびちゃん。」
小柄なな上に座っている史華ちゃんの上からみやびちゃんの得意なチョップをお見舞いされた。
「こらポンコツ!吉乃さんが困ってるでしょ。変態プレイはほどほどにしなさい!」
親友は史華ちゃんの後ろで腰に手を当てながら私を睨んでくる。
「あ〜、みやびちゃんってばヤキモチ焼いて〜。心配しないでも後でちゃんと紹介するつもりだったんだから〜。」
私はみやびちゃんを抱きしめながら史華ちゃんに、
「ねぇ、史華ちゃん。よかったら連絡先交換しない?お友達からお願いします。」
スマホを差し出しながらお願いした。
クスクスと笑う史華ちゃんはやっぱり可愛い。
「もちろん喜んで。」
スマホを操作して、連絡先を表示してくれた。
「ほらほら、みやびちゃん。みやびちゃんもお友達からお願いしなよ。こんな別嬪さんと仲良くなるチャンスなんてなかなかないよ?」
連絡先を登録し終わりスマホをしまっていると、みやびちゃんがスマホの画面を見せてきた。
「あのね香澄ちゃん。あなたがそうちゃんそうちゃん言ってる間に、私はクラスメイトとの親交を深めてきたのよ。史華とは連絡先交換済みの友達だよ。」
そんな!さすがみやびちゃん。友達100人計画は着実に進んでいると見える。
「ひょっとして私ってぼっち予備軍?クラスで浮いてない?」
そうちゃんのことしか考えてなかったから自分のクラスにいる時間はあまりなかった。
そうちゃんと和解できて精神的に余裕ができて冷静に状況判断できるようになってきた。
「香澄ちゃん。大丈夫だよ。みんな香澄ちゃんと友達になりたくてウズウズしてるんだから。今だって、みんな香澄ちゃんのこと意識してるよ。」
史華ちゃんに言われて周りを見渡してみると、チラチラこちらの様子を伺ってる人がいる。
「そうだよ香澄ちゃん。纐纈くん以外にも目を向けなさいよ。せっかくの高校生活なんだから楽しもうよ。」
ねぇっとみやびちゃんと史華ちゃんが顔を見合わせている。
「そうだね。私も友達増やさないとね。」
「そうそう。うちのクラスには学年No.1のイケメンの呼び声の高い白石くんもいるしね。」
みやびちゃん、そういうの興味あったんだね。
そこは白い目で返しておこう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます