第8話 女の影?
「そうちゃん、一緒に学校行こ!」
「いや、俺自転車だし。」
「そうちゃん、一緒にお昼食べよう!」
「いや、俺クラス違うし。」
「そうちゃん、一緒にトイレ行こ!」
「いや、俺男だし。」
「そうちゃん、一緒に宿題しよう!」
「いや、俺練習あるし。」
♢♢♢♢♢
「なあソウ。最近の聖川さんすごいな。怒涛の攻撃じゃないか。なんかあったのか?」
「まあ、うざいくらいにカラんでくるな。」
先日の早朝マラソン以来、聖川のかまってかまってがうざい。
おかげでウチのクラスメイトには白い目で見られるようになった。
"美人なのに残念な子"
1-Bでの聖川の印象だ。
「なあ平川。」
俺は幼馴染の親友に話しかけた。
「なに纐纈くん。」
幼馴染の親友さんはなんとなく言葉にトゲがある。
「あの残念な美少女は休み時間のたびにB組にくるんだけどA組にはお前以外友達いないのか?」
「あのね纐纈くん。美少女の首席さんがぼっちなわけないでしょ。香澄ちゃんの席が廊下側の扉のすぐそばだから取り囲まれる前に移動してるのよ。」
「ほお、そんなにトイレが近いのか。」
「・・・あのね。みんな香澄ちゃんと話したいんだけどすぐいなくなっちゃうでしょ?だからね原因である纐纈ってどんなやつだ〜ってクラスの男子が騒いでたよ。」
「・・・」
「・・・」
ハァー
ため息しかでないな。
お隣さんはうちのクラスとは違う反応らしい。
「なあ平川。」
「なに纐纈くん。」
これ言うと怒られるだろうけど、
「俺に彼女ができれば落ち着くと思うか?」
反応が怖いので視線は親友さんから外しておく。
「そうね。香澄ちゃんの親友としてはいまのセリフ許せないけど、中学の時の纐纈くんの境遇も知ってるから考えものだよね。」
ため息混じりだが俺のことも考えてくれてるらしい。
「ねえ纐纈くん。」
「なに平川。」
「いまさらなんだけどなんで香澄ちゃんじゃだめなの?纐纈くんのことに関してはポンコツだけど、それ以外は非の打ち所がないよ?」
あれ?これ前にも聞かれたような気がするぞ。デジャヴか?
「本人にも何回も答えてるけど・・・。質問に質問で返して悪いんだけど、お前はみんなが認めるようなイケメンなら誰でも付き合うか?」
「う〜ん。私にも選ぶ権利があるかな〜。」
「だろ?あのな、アイツの良さなんて平川よりも知ってる自信があるぞ。だからってな、俺が付き合いたいかっていうと話は別だろ?」
平川はちょっと困った表情を作りながら唸っている。
まあ、俺ごときが偉そうにっていうやつもいるだろうけど・・・実際いたしな。
「うん。纐纈くんのいうことわかるよ。わかるけどね。やっぱり・・・私は香澄ちゃんの親友なんだよね。」
♢♢♢♢♢
放課後、練習に向かうため俺は早めに教室を出た。
A組の前を通りかかったところで、
「ソウちゃん!」と呼び止められた。
もちろんソウちゃんなんて呼ぶ同級生は幼馴染くらいしかいない。
「なんだよ。急いでるんだけど。」
声のした方を見ると幼馴染と・・・あれ?ここにいるはずない人が立っている。
しかも幼馴染の横に。
「え?なんで吉乃がいる?お前桜華じゃなかったか?」
驚いた俺は吉乃に近いていくと、あれ?泣きぼくろがある。俺の知ってる吉乃にはありますないぞ。
俺の言動に幼馴染と吉乃に似た女の子は目をパチクリさせながら固まっていた。
「そうちゃん、史華ちゃんのこと知ってるの?中学別だよ?いつの間にコンパでお持ち帰りしたの?」
幼馴染の顔が怖い。まず第一にコンパには行ってない。故にお持ち帰りもない。
そんなことを考えてると、
「えっと、そうちゃんくん?ひょっとして公佳の知り合い?私も吉乃には違いないよ。」
ん?てことはまとめるとこの子の名前は
「ん?ひょっとして吉乃さんって・・・」
「うん、公佳の双子の姉です。そうちゃんくんのフルネームって聞いてもいいかな?」
小柄な彼女は上目遣いがちに俺に尋ねてきた。
「纐纈総士だよ。」
いや、なんでお前が答えてるんだよ幼馴染!
「あ!ひょっとして公佳にコウくんって呼ばれてる?飛鳥とも仲良いよね?」
「そうそう。纐纈だからね。チームメイトなんだ。」
あ。
しまった。
幼馴染がいた。
またしても情報源が発覚してしまった。
「そうだったんだ。香澄ちゃんの意中の君がコウくんだったんだね。・・・ん?てことは半年前くらいに公佳にこくは・・く・・。」
と史華が言いかけたところで隣の幼馴染の存在を思い出し、両手で口を塞いだ。
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