第2話 オンユアマーク
身長は160cm強、並の上。
体重は50kgを超えたほど。
取り立てて体格に恵まれたわけではないが、サッカーと水泳を嗜んでいた。
また、勉強はなかなかできた。
名門中学の門を叩く。
ここでとあるスポーツ、そして仲間たちと、かつてない運命的な出会いを果たすことになる。
スポーツ。
その名を…。
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「ハンドボールというんだ」
永四郎の言葉に沈黙が横たわった。
「…………………」
こいつ、たまにボケるんやな。
同級生の男は今回、意地でも、ツッこまないと決意した。
「……………で」
しかし耐えかねた。同級生こと、
「オチは?」
永四郎は仏頂面で返す。
「ない」
「アッアッアッ、アホかーい!」
「ハンドボールってなんやねん。球技ってとこしか共通点ないやんけ」
少し関西弁が入っている。
「いや、本当に初めはハンドボールをやろうとしてたんだ」
穏やかな視線。赤江も窓に顔を向けた。
広く晴れわたる青空。白く千切れた雲が流れてゆく。
「校舎の中でスカウトされたから」
「じゃあなんで、ハンドボールせんかったんや」
「そりゃあ」
永四郎にとっては当然のことであった。
「こっちの人に先に誘われてたから」
正しくは自分の母親である。
「まさか顧問と知り合いとはね」
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歴史を感じさせる古びた校舎。廊下の窓からは広がる校庭がよく見える。
放課後を待ちわびたサッカー部員が蹴りあげた、空高く舞い上がるボール。
なんとはなしに二人は目で追った。
落下しはじめたボールのその先、水色の光がゆらめく。
一般的にはプールと呼ばれる巨大な水たまりである。
サッカーのものとは違うボールがたゆたっていた。
ザラザラした表面に黄色と青の美しい配色。
馴染みのないあのボール。
果たして自分は投げられるだろうか?
プールを泳いで、競い合うことが出来るのだろうか?
赤江は考えていた。隣の男よりは上手く投げてやろう。
永四郎もまた、同じことを考えていた。
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