ミニャルディーズ


 嗚呼、おとめ様。


おとめ様、かのこは辛い。



胸きゅん♡なセリフから、このお洒落な物語は始まります。


お姉様のような同級生「おとめ様」に恋をする「かのこ」は、ある雨の日、手土産の『ミニャルディーズ』を手にバスに乗りこみます。

バスに乗った「かのこ」は、心の中で愛しい「おとめ様」に話かけるのです。


まるでそれ自体が美しい宝石箱を開くような、或いは仏蘭西か伊太利(フランス、イタリアではなく仏蘭西、伊太利ですわ)の老舗の高級な小さなお菓子を摘むような……そう、作者の豊かな知識が物語を、そして『おとめ様』を、『特別』なものへ作り上げていきます。


生まれて初めて百合小説を読む麒麟屋は、思わず悶絶しそうになりました。


ところが更に話が進むと、おとめ様の特別感は違和感へ。そして、美しく流れていた音楽が、段々と調子がおかしくなっていきます。


アレ?耽美な百合小説だったよね?


あれれ?

読者は狂い始めた歯車を、キョロキョロしながら読み進めることになります。


そして最後には、「おい!」とかのこちゃんに突っ込みたくなるような面白さは、作者の深川夏眠様の個性なのでしょうか?

一粒で二度美味しい、お洒落で面白い百合小説でした!


尚、『おとめ』も『かのこ』も『百合』の名前だそうです!

なるほど!そういう意味でも、百合小説か!!

思わず膝を打ちたくなる知識も増える作品です!


おとめ様の正体(多分)を考えれば、愛らしい百合の花を失望させたにくい雨は、もしかすれば救いの雨……だったかも?


著者 深川夏眠


「ミニャルディーズ」

https://kakuyomu.jp/works/1177354054895802805/episodes/1177354054895802818



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