君は海月の出会う骨
あのですね。
これは凄いです。
好みは分かれると思いますが、米津玄師氏の「灰色と青」にハマった方にとって相当クルと思います。
何がというと、圧倒的な言葉のセンスです。
「なぜ、そうしようと思ったの?」
そこから始まる話は、アップテンポに続いていきます。
降る雨
跳ねる髪の毛
背骨の曲がった傘
揺れる肩
作者の藤咲氏は私たちの視界を不安定に揺らしながら、まるで青い海の中にいるような気持ちにさせていきます。
そして
「僕の骨は、脆い」
いきなり、藤咲氏は私たちに突きつけてきます。
いいえ、病気の少年の話ではありません。
(ああ、僕はまるで海月だ)
彼はそう思います。
そして「このままいつか振動が同化すればいいな」
そう雨の日に出会った少女のことを思います。
この「僕の骨は脆い」と、自分の中の自分を殺す押し付けられた価値観に気づいた少年に言わせるセンス。
決して、読者に「社会の不条理」や「大人の理不尽さ」を突きつけるのではなく、美しい言葉に包んで、そっと風に乗せて飛ばしていく軽やかさ。
そして「君は海月の出会う骨」というタイトル。
大変な才能だと思います。
これからも更にこの才能を磨かれていきますよう、期待しています。
作者 藤咲 沙久
「君は海月の出会う骨」
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