heroseaさんの作品集
「人間模様0 中秋の3つの出来事」
恋心というのは、まるでデザートのように人生にはつきものなのかなと思わせる、ある日の主人公の様子です。
足のついた生活の中での、一コマが切り取られています。
異世界にも転移しないし、過去にも転生しないし、華々しく誰かに恋もしないし、ゾンビにも追いかけられない、リアルな生活の中にもドラマがあることを上手に描ききっていると思います。
人間模様0 中秋の3つの出来事
https://kakuyomu.jp/works/1177354054892359850/episodes/1177354054892372853
「人間模様1 丸ノ内の靴磨き」
東京駅で靴磨きをしている男性たちとの出会いと彼らの意外な正体の話です。
私は露店で靴磨きをしている人は見たことはないのですが、情景が目に浮かぶような表現をされていて、話に引き込まれました。
この靴磨きの絵描きさんの絵が想像できる描写がすごいなと思いました。
多分油彩だと思うのですが、抽象的な人物画か写実的な風景画かな。
そんなことを考えながら楽しく読ませていただきました。
人間模様1 丸ノ内の靴磨き
https://kakuyomu.jp/works/1177354054892372725
「人間模様2 山手線のポケモン野郎」
電車の中で迷惑な客とのアクシデントの話です。
女性に強く、自分より年上の老人では無い男性には弱い。
これは女性にとってアルアルだと思います。
キュウギュウとした車内。
肘の当たる体の苦しさが上手に描かれています。
三点リーダは「……」でお願いします(笑
人間模様2 山手線のポケモン野郎
https://kakuyomu.jp/works/1177354054892391083
「人間模様3 ヘルプマーク」
電車の中での一コマです。
当たり前の行為が、他の人には致命的な行為になる。
言われてみれば、そんな事書いてあった。
でも今までそんな事にならなかったから、深く考えていなかった。
そんなことは電車の中に限らずある。
めんどくさい。
あ、悪かったな
そんな小さな選択があった。
一つの当たり前から始まる心の優しさが、次々と花を咲かせる。
こんな情景が当たり前になってほしいと思う優しいお話です。
「」の中の()はなんだろう?
ちょっとわかんないところもありますが、優しい筆致が内容とよくあっているのでは無いかと思いました。
人間模様3 ヘルプマーク
https://kakuyomu.jp/works/1177354054892400696
「人間模様5 出会いのバー」
こんがらがった大人の恋の「出会いのバー」
何気なく入った店に、肉感的な話好きの美女が一人。そこから始まる不思議な縁の話です。
登場人物のそれぞれが背負った人生の重みが感じられて、とても味わい深い作品です。
一人一人が、きちんとキャラクターがあり、モブの人はいません。
笑いながら手を叩いているのは、職場の上司だったり、通勤電車で新聞を読んでる豪胆親父だったり、そんな親近感を感じさせます。
またこんな世界があるんだなぁととても新鮮でした。
人間模様5 出会いのバー
https://kakuyomu.jp/works/1177354054892455466
「人間模様6 居酒屋の絵」
何気なく入った定食屋は、残念ながら地元民の憩いの居酒屋だった。
ああしまったという落胆、居心地の悪さが伝わってきます。
更に何気なく発した言葉が、的外れ。
しかし、話が進むに連れ、ただの背景だった地元の人々の表情がくっきりと現れ、親しみやすい人々へと変わっていく描写が印象的です。
「また行こう」
作者の背中の言葉が、「いい話だった」という余韻を作り上げています。
人間模様6 居酒屋の絵
https://kakuyomu.jp/works/1177354054892557041
「人間模様7 イートインの老人」
思いも掛けないところで知り合いと会うと、相手が非常に客観的に見えて別人のように感じることがあります。
作者が思いがけずコンビニのイートインコーナーで、近所のおじいさんと会った話です。
きっとそこで会わなければ、話をすることも無く、ある日「向かいのおじいちゃん、亡くなったんだって」と食卓の話題に出て、「へ〜」で終わっていたはずの関係が、コトリと音を立てて変わっていきます。
作者の作品のすごいところは、書かれていない背景が透けて見えるところです。
おじいさんが居間のソファに座って、奥さんにお茶をちょっと横柄に入れてもらっていたり、たまには奥さんと出かけようかと思っていたのに、「あらいやだ!その日は〇〇さんと日帰り旅行に行くって言ってたじゃないですか」と断られたりしていそうです。
そういう部分を含めて面白い作品だと思いました。
人間模様7 イートインの老人
https://kakuyomu.jp/works/1177354054892652497
「人間模様8 とんかつ難民」
頑固おやじの店主が営む地元の名店の話です。
いつも食べている名店の待たされてながら見る風景、閉店を告げる張り紙を見てそうなんだと思い、そして閉店後の様子。
それだけなのですが、自分の中にある体験とリンクして、非常に臨場感を感じます。
作者の淡々としたリアルな表現力が見ものです。
この表現力は、作者の一連の作品を読むと、常に周囲を興味深く観察しながら人生を送られていることからくるものだと分かります。
なんの衒いもなく、傍観者でもなく、自然体でそこにいる作者の生き方が最もよく現れているように感じました。
人間模様8 とんかつ難民
https://kakuyomu.jp/works/1177354054892661132
「人間模様9 通勤路のふたり」
自分の人生の中を通り過ぎる人たちの中に、いつも決まった場所ですれ違う人という方々がいると思います。
「ああ、いつもより手前で見たから、今日はちょっと遅くなった」
「あ、コートを着てる。そんな季節か」
何も知らない人なのに、知っている人。
作者の通勤路にいるその女性は、そんな一人でした。
その女性の人生の一幕が描かれた作品で、それは誰かにとっての自分かもしれない。
一人じゃない。
優しく見守っているheroseaさんの目の優しさを感じる作品です。
人間模様9 通勤路のふたり
https://kakuyomu.jp/works/1177354054892714741
全体的に、非常に人間描写の優れている作者さんであると思います。
一人一人の背景を書き込まれているわけではありませんが、背負った人生を感じさせ、生きている人間であることが感じられます。
私もこのように読み手さんにリアリティを持って登場人物を感じてもらいたいと思いました。
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