第5話 これからのこと

俺とシダレは大きい椅子に座って、向き合っていた。

「さて、ハルキ。聞きたいことっていうのは―なんじゃ?」

「色々聞きたいことはありますが―シダレは、俺を意図してここに連れてきたのか?」

俺はシダレが言っていた、見込んだとおりという言葉が気になっていた。

「ふむ…。まずは、私のことについて説明しなければならないの。」

「………え?」

「私は創世の神から生まれた存在。簡単に言うと、私のお父さんは創世神。お母さんは知らない。私には、姉と妹がいる。姉は桃姫ももひめ、妹は梅姫うめひめ。私の家族はどこに行ったのかわからない。というより、私がここにいる理由は…」

「…?理由は?」

「これ以上は話せないんじゃ。すまんの。それで、全部知っているような発言をしたのは、私が未来を見ることができるからなんじゃ。」

「未来を……」

「いわゆる、未来視ってやつじゃな。なんとなく予想はできたんじゃ。ハルキがここに来ることも。」

「そうだったんですか…」

未来視か……。異世界来たって感じがする。

「このあと俺は、どうなるんですか?」

「一生ここで暮らすか、異世界転生じゃな。」

やっぱり、転生っていう選択肢があるのか…。まぁでも、ここで一生暮らすっていうのも悪くないんだよね。心地いいし。

「ハルキ。選ばせたいところだが……。異世界転生しておくれ。正直、私の国がどうなっているか気になるんじゃ。」

「私の国って……ここじゃなくて?」

「ここは一応冥界じゃぞ。」

「じゃあ、シダレの国が異世界にもあるの?」

「なにも変わってなければ、の話じゃがな。」

「どういうこと?」

「私の国はだいたい数万年前に出来た国なんじゃ。古くからある国なんじゃが……。」

「なにかあったの?」

「よからぬ噂を聞いてな。正直心配なんじゃ」

よからぬ噂……

まぁ、調査するために異世界に行くっていうのもいいかもな。やること増えるから。

「そしてな?ハルキ。異世界転生なんじゃが……私も連れてって欲しいのじゃ」

「え……?そんなことできるんですか?」

「できないことはないが…」

「なにか問題が?」

「私がハルキの下僕にならないといけない」

……。

真顔で言われてもねぇ。

「シダレを下僕にできるの?シダレは創世神の娘なんだから、一応神様なんでしょ?」

「そんなのどうでもいいんじゃよ。決めるのはハルキじゃぞ。私はもう、どちらでもよい。」

シダレはどこか寂しそうだった。

そんな顔されたら―連れていくしかないじゃないか。


「わかったよシダレ。俺は、シダレを下僕にして異世界転生する。」

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