第9話 人間だけが何故

地球上で子供が年老いた親の面倒をみるのは人間だけだ。


何故なのか?不思議で仕方ない。


その理由は人間だけが一生親に囚われて生きるからだ。


認知症になって子供の事は忘れても親の事は忘れないのだから。


本人が子供に戻り親を探していたりする。


親への思いはそれほどに強く深いのだから。


こんな思いを持っているのはたぶん人間だけだ。


自然界では子育てが終わりをつげたら親は自分で餌を取れなくなったら生命の終わりだ。


それを酷いとか冷たいとか思われない。当たり前だから。


親は自分の生を責任持って終わらすのだ。


では人間は?


子供や他の人へ頼りながら生きなければならない。


その事が人間故の課題なのか?


あまりにも弱い生き物だから?


大脳新皮質があるから?  認識しなくてはいけないからか?


歳を取ること、死に近づいていく事が生きる事だと。


そこから何かを学ぶために?


歳老いて一人で生活出来なくなった親を面倒見ないと罪悪感を


持ってしまう。面倒を見ても後でもっとすれば良かったと後悔するものだ。


親子孝行をしなくてはならないという思いが強迫的に有るからだ。


何故親孝行?


育ててくれたお返し?


なにのための子育て?育ててくれてありがとうだから?


もしも産んであげた、育ててあげたのよ、と親が思っていたなら


子供ももその思いを感知してお返ししなくてはいけないと思う。


あなたを育てるの大変だったのと聞かされたら子供は罪悪感を持つだろう。


子供とはそう取るものだから。


自然界のままだと、親は産んで育てて当たり前、他に何も求めない、それが自然界のサイクルだから。


次の命に繋げていくため。


親は子供から感謝されたい?そう、それが無いと自分の存在価値を


実感出来なくなるから。なんのために頑張っているかわからなくて


虚しくなるから。他に誰も親を評価してくれないからだ。


親にとって子供が唯一自分の存在価値を確認出来るからだ。


自分がいなければこの子は生きていけない、程の影響力を与える。


お互いに相手が居ないと生きていけない。


それが成長と共に無くなるのが自然!


なのに人間はずっとだ!


格好つけて子供に面倒見なくて良いよ、という親がいるが


いざ自分自身が動けなくなり、一人暮らしが出来なくなったら  


本当にそんな事言っていられるだろうか?


事実みんな寂しいと言うのだ。


子供の方はずっと言われてたから大丈夫だと思っている、


親の寂しさはわかっていないのだから。


寂しいのは当然で誰にも頼ってはいけない、面倒をかけてはいけないと突っ張って生きてきたから。


人間は一人では生きていけない動物なのだから。


依存と頼るは違うものだとわからないとそうなる。


あなたが居ないと生きていけないは依存、


あなたがそばに居なくても心から好きと思える、


出来ない事を代わりにしてくれる、助けてくれる人がいてくれる、


安心感が、頼る。









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